■バイデン大統領の支持率は過去最低に 粉ミルク問題が悪影響?

粉ミルク不足が最も深刻なテキサス州のアボット知事(共和党)は、政府の移民政策に言及し、この問題への対応を批判。「アメリカの母親、父親が空っぽの棚に向かってパニックに陥っているのに、バイデン大統領は収容施設にいる不法移民に喜んで粉ミルクを提供している」などと声明を発表した。

不法移民の子どもに水や食料、そして粉ミルクを提供する人道支援制度は1997年に制定され、トランプ政権時代にも踏襲されてきたのだが、アボット知事はバイデン大統領を声高に批判する。
テキサス州の地元メディアは、2022年11月に中間選挙と同時に行われる知事選挙に向けた「政治的戦略だ」とアボット知事の対応を分析している。

日米共同会見時のバイデン大統領

一方、5月20日にAP通信が最新の世論調査を発表し、バイデン大統領の支持率が過去最低の39%であることが明らかになった。終わりの見えないインフレを主因とする、経済政策への不信感が国民に募っているという。

公共ラジオ局NPRはFDA高官の話として、粉ミルクの供給が正常に戻るまで「6週間から8週間はかかるだろう」と伝えているが、長引くほど、粉ミルク問題はバイデン大統領の支持率に悪影響を及ぼすとみられている。

出産を経験した人は、粉ミルクが無いからといって母乳に切り替えることは不可能に近いことだと想像できると思う。また、体質などにより直接授乳ができない母親もたくさんいる。新型コロナからの回復で、オフィスに働きに出る母親もどんどん増えている。

まもなく底をつく我が家の粉ミルク缶を眺めながら、私もこの問題の早期解決を心から願っている。