練習の位置づけで出場した寺田は7月のアジア選手権が重要に

2位の寺田は今季初めての敗戦だった。

「練習の一環として位置付けて出場しました。勝ち負けはつくのですが、日本選手権も終わっているので、やりたいことができればいい、と割り切って出場しました」

寺田が試したかったのは、日本選手権よりも前半のスピードを若干抑えること。その理由を次のように説明した。

「(日本選手権は)1台目から2台目は高いスピードを出して、3・4・5台に行く流れを作っていましたが、インターバルが詰まって緩めてしまう、疲れてしまう感じでした。今日は前半を少し抑えて出て、後半がどうなるかを見たかった。予選は7台目で少し崩れてスピードを落としてしまいましたが、やりたいことは決勝よりもできました。決勝は全体的にフワッとしてしまって、ずっと同じテンポで行っちゃった感じです」

敗れた悔しさには言及しなかった。練習の一環と割り切っていたので、そこまで悔しくなかったのかもしれない。あるいは意識的に感情を隠したのか。

寺田、青木とも世界陸上参加標準記録の12秒78を破っていないが、布勢スプリントの結果を見ても、十分に射程圏に入っている。仮に標準記録に届かなくとも、Road to Budapest 23で出場資格を得られれば、8月2日以降に代表に選ばれる。

女子100mハードルのエントリー枠は40人。6月27日時点のランクで田中25位、青木26位でこの2人は代表入りが有力だ。寺田は1国3人以内に入っていないが、30位相当につけている。今季無敗だった寺田の方がランクが低いのは、他の2人と違い順位ポイントが高い試合に出場してこなかったからだ。田中は2月に豪州のAランクの試合で2位に入り、青木も2月のAランクのアジア室内選手権で優勝している。

寺田と青木は7月のアジア選手権(タイ)に出場する。順位ポイントの高い試合だ。そこでの順位次第で、Road to Budapest 23のランクも変えられる。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)