元少年を鑑定した医師「精神障害を装っている可能性が非常に高い」

争点の1つとなっている「刑事責任能力」の有無。裁判では男を鑑定した医師の証人尋問が行われ、被告の症状を説明できる精神障害が存在しないこと、供述が責任能力を減免される方向に変わっていることなどから「精神障害があるかのように装っている可能性が非常に高い」と指摘しました。

将太さんの母やきょうだいら男に「将太を返して」「絶対に許さない」

6月12日には裁判に参加している堤さんの家族が意見陳述し次のように述べました。

(将太さんの兄)
「大切な家族を失った喪失感、怒りはいつまでも消えません。最も重い処罰が下ることを望んでいます。被告は本当のことを話すべきだった」

(将太さんの母親)
「先日、将太の夢を見ました。29歳の将太が玄関先でただいまと言っていました。でも、顔や姿はぼんやりしてハッキリしないのです。私の心の中の将太は16歳のままです。どんな気持ちで今ここにいるんですか?将太を返して。事件当日被告が未成年だったのなら、両親も責任を取るべきです。10年10か月逃げたことは全てを許すことができません」

一連の裁判の期日に出席していた父親の敏さん。裁判後には毎回、会見を行いその中で次のような話をしていました。

(堤将太さんの父親)
「(元少年は)何の真実も語っていない。未だに彼は嘘で固めているだけ最後の最後までその姿勢、何も真実は分かっていないと思います」
「私たち家族が得たものなんて何もない。失ったものしかない」

判決が出たとしても、遺族にとって最愛の息子を亡くしたという事実に変わりはなく、その現実と向き合い続けねばなりません。『遺族に終わりなどはない』そのこことに気づかされた瞬間でした。 

 検察側は「凶器が鋭利な刃物であること、強固な殺意で多数回攻撃を加えていて、犯行時少年だったこと以外に酌むべき事情はない」と指摘、そのうえで「犯行態様の悪質性、結果の重大性、動機の悪質性などから無期懲役も考えられたが、犯行時17歳で無期懲役は躊躇され有期刑が相当、犯行の悪質性から法律上課せられる有期刑で罪を償わせるとともに反省をさせて更生をはかる必要がある」として、元少年に懲役20年を求刑しました。

一方、弁護側は被告が当時「心神耗弱状態」だったなどとして懲役8年が相当だと主張しました。

 争点となっている殺意や責任能力の有無について、裁判員らの判断が注目されます。