裁判では父親が被告人に質問「将太を刺した時、どんな気持ちに」被告「何もないです」

被害者参加制度を使って、裁判に参加している父親の敏さん。裁判では男にも直接、質問をしました。

父親「なぜ、将太は殺されなければいけなかったんですか」
被告「17歳の時の私は、家の近くまでやってきた不良グループの1人だと考えてしまったからです」

父親「将太を刺した時、どんな気持ちになりましたか」
被告「何もないです」

父親「将太の表情や反応はどうでしたか」
被告「表情は分からないです。痛いとは言いました」

父親「やめようとは思わなかったんですか」
被告「やめようとは考えも及びませんでした。死ぬということも、考えが及ばなかった」

父親「将太がどれだけ苦しかったか分かりますか」
被告「分からないです。今は同じ経験をしていないので、分かりますとは言えない」

父親「被害者に声をかけるとしたら」
被告「経験できた将来の良いことも悪いことも全部自分のせいで断たれてしまった。申し訳ない」

父親「ここにいる私たちを見てどう思う」
被告「自分が生きていて申し訳ありませんと思います」

父親「今は人を殺してはいけない理由は分かる?いつから分かったんですか」
被告「27歳」

父親「その時に謝ろうとは思わなかったのか」
被告「事件の記憶が薄くなっていました。思い出すことができなかった」


 今回の裁判で検察側は「責任能力は著しく低下しておらず、完全責任能力がある認識」だと主張。これに対し弁護側は「当時は心神耗弱状態で完全責任能力はなかった。通常の精神状態ではなかった。『しばいたろか』と言われていると感じ、自分が襲われると思い犯行に及んだ」と主張。また、元少年の男は「男性を複数回刺したのは事実です、殺すつもりはありませんでした」とも述べていました。つまり、今回の裁判では殺意と刑事責任能力の有無が争点となっています。