男子400mは日本人2人目の44秒ランナー出現が秒読み段階に入った。陸上競技の第107回日本選手権が6月1~4日、大阪市ヤンマースタジアム長居で行われた。大会4日目の男子400mは中島佑気ジョセフ(21、東洋大4年)が45秒15の日本歴代5位で優勝。佐藤風雅(27、ミズノ)が45秒26の日本歴代8位で続いた。3位の佐藤拳太郎(28、富士通)が45秒47、4位の今泉堅貴(筑波大4年)が45秒54と好タイムが続出した。

1~3位の中島と両佐藤は、7月30日までに参加標準記録の45秒00を突破すれば代表入りできる。Road to Budapest 23(標準記録突破者と世界ランキング上位者を1国3人でカウントした世界陸連作成のリスト)でも48人枠の男子400mで、中島28位、佐藤拳35位、佐藤風41位に入っている。中島は安全圏で、両佐藤は7月中旬のアジア選手権(タイ)でポイントを上積みする。3人が8月2日以降に代表に選考される可能性がある。

最初の100mの歩数は45歩だが

44秒台まで0.16秒。距離にすれば約2mだった。取材エリアに姿を見せた中島は、悔しさを隠せなかった。

「ただただ悔しいですね。良いレースをした感覚もあったので、なんで出ないのかなって。300mまではすごく良い感じで来て、ラストの直線も(佐藤風を)逆転できるくらいの走りはできたのに。(44秒台を出せると感じ始めてから)長い、苦しい戦いですね」

280m付近で1つ内側のレーンの佐藤風に前に出られた。

「内側は気にせずに先頭で最後の直線に入って、どれだけ引き離せるか。その展開が44秒台、さらには日本記録(44秒78)を出す上でマストなレース展開だと思っていましたから。しかし前半で詰められてしまっていました。周りの状況はわかりませんでしたが、前半のスピードの乗りが足りなかったのかな、と反省しています」

東洋大の梶原道明監督も「最初の100mが、加速のリズムが悪かった」と、中島の自己分析に同意した。

「中島の現時点の歩数は最初の100mが45歩、次の100mが40歩です。ウォーミングアップでは45歩目が、無理をしないで100mラインを1m越えていました。それがレースでは1m手前になってしまって、その分、予定していたタイムより遅くなりましたね」

昨年まではラストの直線の強さが、中島の一番の特徴だった。今季は前半も速くなってきたが、目指すレベルまで到達していない。前半の100mでスピードに乗れば、そのスピードを維持しやすくなり、全体のタイム短縮につながる。もちろん、簡単なことではない。オーバーペースになってしまう可能性もある。だがそれに成功したときは44秒台だけでなく、日本記録更新も可能になる。