五輪、世界バレーと並ぶバレーボール三大大会のひとつ、ネーションズリーグが6日に開幕した。男子日本代表の髙橋藍(21、日本体育大学)は、現役大学生ながらイタリアでの2シーズン目を終え、代表に合流。石川祐希(27、パワーバレー・ミラノ/イタリア)、西田有志(23、日本バレーボール協会)に続くエースへと、着実に成長を続けている。パドヴァで中心選手として戦った経験が代表でも生かされ、攻守で活躍を見せている髙橋に、イタリアでの挑戦や自身の目指す姿について聞いた。
Q.イタリアでのシーズンは1年目と比べて、2年目は充実したシーズンになったと思います。改めて得られたものや手応えはいかがですか?
髙橋:
1年目に比べてさらに自信がつきましたし、今シーズンは自分がチームの軸として、シーズンを通してやることができた。チームを引っ張る力だったり、チームが欲しい場面で得点をとることに貢献していたので、そういう部分は代表でも必要です。軸になるエースが必要になってくるので、そういう部分はイタリアでのシーズンで良い立ち位置でできた。もちろん総合的にすべての能力が上がったこともありますけど、一番は勝負所で決めきれるエースというか、そういう要素を今シーズン学べたと思います。
Q.石川選手、西田選手に並ぶ核になりたいと言っていましたが、イタリアでの2シーズン目を終えて、そのあたりはいかがですか?
髙橋:
軸になっていかないといけない使命もありますし、今シーズンイタリアで(チームの)軸としてやっていたからこそ、それは変わらず日本代表の中でもやっていかないといけないと思っています。代表が続く中でVNL(ネーションズリーグ)もそうですし、自分のポジションを確立させないといけないとも思いますし、軸になるエース、それがいればいるほどいいと思っているので、自分もそうなれるように、練習や大会の中でアピールしていくってところにフォーカスしてやっていきたいと思います。
Q.パリ五輪も迫っています。2023年はどんな年だと思いますか?
髙橋:
4年に1度の大会をチームとしても大きな目標にしていますし、予選で切符を獲得して(五輪出場を)決めることが大事になってくると思うので、一番の目標、求めている場所はそこなのかなと思います。
Q.今年のテーマはありますか?
髙橋:
個々の能力はチームの中でも上がっていると思うので、チームの総合力が世界のトップと戦う上で求められてるかなと思う。個々の能力はすごくついてきてて、自分も上がってるなと思いますし。その中でチーム力、世界のトップと戦っていくチーム力を身に着けることが重要になると思います。
Q.去年の世界バレーでフランスに一歩及ばなかった。世界の強豪に勝っていくために必要なものはどんな事?(※日本は東京五輪金メダルのフランスにフルセットの末敗れた)
髙橋:
個々の能力で点を取っていくことは必要だと思いますし、その中でフランスと戦えたことは全員自信に思っていることだと思うので、この先1点が欲しい時にはそのチーム力が必要になると思う。最後の1点、個々の能力でとれる1点だと思ってるので、そこにたどり着くためにはチーム力で戦って、その1点を無駄にしないことが必要。チームとして1点をとっていくことを意識していきたいと思います。
Q.そこの1点について、監督やチーム同士で話すことはありますか?
髙橋:
監督は、ハイボールの打ち切りが大事になってくると言っている。
世界と戦う時にはサーブや、崩される場面も増えてくるので、その時にはハイボールの打ち切りができないと得点にはつながっていかない。そこの1点が大事になってくるのでそのシチュエーションの時にハイボールを打ち切れるかっていうところが自分を含めてOH、OPに必要になってくると思いますし、その1点1点、取りたい点数を取っていく必要があると思いますね。
Q.ハイボールの処理はイタリアでやってたことが生きたりしますかね?
髙橋:
世界のブロックを相手に自分もやっていましたし、その中で得られたのは、ただ打つだけではなくて、ハイボールの状況の時に自分たちが有利な状況を作ることも得点につながっていく、例えばブロックアウトをしたり、もう一度ブロックを使って切り返す打ち方もあるので。そういう打ち方があれば、ハイボールのうちに得点につながっていくこともあるので、一本で決められれば楽ですけど、世界がそんなに甘くないのもチームは分かってると思うのでそこでいかにブロックを使って、自分たちが得点につなげて行けるか、っていう引き出しの多さが必要になるかなと思います。
Q.東京五輪、パリ五輪でチームでの位置づけは変わってくると思いますが、髙橋選手の中でパリ五輪はどういう位置づけですか?
髙橋:
東京の時は19歳の年だったので、引っ張っていってもらう場面が多かったですけど、次のパリでは自分もチームを引っ張ることがチームの勝利に関わってくると思う。チームの軸として確立させたいですし、次のパリ(五輪)では、出場を目標にするのではなく、メダルを目標にして、日本代表が戦っていく力があることを証明する場所なのかなと思います。
Q.顔つきが東京五輪から変わったと思います。
髙橋:
色んな経験が増えて、色んな選手を見てきて、学ぶことも多かったですし、ほかの国の選手の考え方などを見て、自分に自信を持つこと、意思を持つことが大事だなと思ったので、そこは自分という選手が確立してきた、そういう部分がつながっていると思います。
Q.VNLの位置づけは?
髙橋:
今シーズンは一戦一戦が大事になってきますし、VNLは今の日本の立ち位置を試せるいい大会でもある。なおかつ(世界)ランキングを意識して戦っていかないといけないので、一戦一戦落とせない戦いが続きます。その中でチーム力も上げないといけない。世界と戦える大会なので、色んな事を試せる大会でもありますし、世界相手にどこまで戦えるのか、ランキング上位の国にどう勝っていくのか、戦い方など探りながら。いい大会だと思います。
Q.個人的に戦いたいチームなどありますか?
髙橋:
楽しみなのがブルガリア(10日)、一緒にやってた選手もいますし、一緒にやってた選手と戦えるのはすごく楽しみなので、そういうチームはいくつかあります。
Q.フランスとはどうですか?
髙橋:
フランス(戦、11日)は前の選手権(去年の世界バレー)から自分たちが成長して来たものだったり、作り上げてきたものを出せるいい機会だと思う。相手がどのような状況かはわからないですけど、そこで良いバレーをして、世界とどこまでやれるか試せるいい機会だと思います。
Q.VNLの意気込みをお願いします。
髙橋:
去年VNLではファイナルに行ってそこでフランスに負けてしまったので、今年もファイナルに出ることを目標にチームもやっていますし、五輪予選(9月末~)前で、世界のトップとどこまでやれるかということを試せるいい機会だと思う。今までやってきたものを出し切れるいい機会だと思いますし、ファイナルラウンドを目標にして、メダルや上位を目標にやっていきたいので、1試合1試合にフォーカスしてやっていきたいと思います。
Q.代表に藍選手より若い選手(専修大2年の甲斐優斗ら)が増えてきて立場も変わってきてると思います。
髙橋:
若い選手はまだ慣れないですけど、自分も入って来た時の気持ちは覚えていますし、その選手たちがやりやすい環境を作るのも自分の仕事だと思っているので。多くコミュニケーションをとって、助けてあげたり、やりやすい環境を作ったりはしていかないといけないと思っています。若い選手が出てくるのは、自分にとっても刺激になるので一緒に切磋琢磨してやっていきたいです。後輩はずっといじってます(笑)。