大戦中、日米の激戦地だった南太平洋のミクロネシアの環礁には旧日本軍の戦艦などが多く沈んでいます。そこから今も油が漏れ出し、問題となっています。
第二次世界大戦の終結まで日本の統治下にあった南太平洋の島国、ミクロネシア。かつて「トラック環礁」と呼ばれたこの場所は、旧日本軍の船舶を整備する重要な拠点でした。
記者
「私の後ろに見えるのが日本名で夏島です。こちらの海底に日本の清澄丸という船が沈んでいます」
アメリカによる大規模な空爆を受けたこの環礁では、多くの艦船や清澄丸のような戦時中に徴用された民間の船が沈没しました。
80年近くが経ち、周辺は沈没船が間近に見られるダイビングスポットとして知られています。しかし、JNNのカメラが「清澄丸」の中でとらえたものは。
ダイバーの吐いた泡がぶつかると、黒く濁った玉が海中を舞います。船の内部には、膨大な量の油が残っていました。周辺には爆薬を積んだままの船が放置されていて、化学物質流出も問題となっています。
この環礁に浮かぶ島に暮らすダイバーのオブラインさんは観光ガイドも務めています。
ダイバー・観光ガイド オブラインさん
「心配です。海の中の魚やサンゴに悪い影響があるからです」
観光のみならず、漁業や生態系の破壊も懸念されているのです。
沈没船からの油の流出の実態調査や回収などのプロジェクトに取り組む日本のNPO「JMAS」。カンボジアなどでの地雷除去も行っています。ミクロネシアが国連で海洋汚染対策を訴えたことを受け、6年前からこの事業をスタートさせました。
JMASチューク事務所 高木雅弘所長
「まだ、だいぶたくさん油が残っている。(船の)崩壊のリスクが高い、早くやらないと回収できなくなってしまう。しかも崩壊によって油が出てくる可能性がある」
これまで3万リットルを超える油を回収してきましたが、プロジェクトは今年でいったん終わりになるということで、現在、ミクロネシア環境省などへの技術の継承を進めています。
ダイバーのオブラインさんもこれに参加、自らの手で油を除去したいと意気込みます。在任中、日本とのプロジェクトを後押していたミクロネシアのパニュエロ前大統領は。
ミクロネシア パニュエロ前大統領
「日本とは100年に及ぶ、特別な結びつきがあります」
日本のこれまでの支援に感謝の意を示すとともに、JNNのインタビューに対し、油流出による環境破壊にあらためて危機感を示しました。
手付かずの自然や世界遺産の遺跡とともに日本統治時代の様々な名残も残すミクロネシア。戦後80年を迎えようとするなか、豊かな環境を維持していくための両国の次の世代の取り組みも必要となります。
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