台湾の民主化は「自身が獲得したもの」

===天安門事件後、中国を出ることを余儀なくされたウアルカイシさん。1996年から台湾で暮らしています。台湾の民主化の歩みともにいたというウアルカイシさんに今の台湾はどうみえるのでしょうか===

Q.台湾に民主主義は根付いたと思いますか?

ウアルカイシさん:
はい。 台湾もかつては、権威主義的な政府でした。しかし、民主化が実現できたということは、台湾の人も中国人も、自由と民主主義を志し、追求することに強い決意を持っていることを証明しています。

Q.中国はまだ民主化できず、一方で、台湾は民主化した。その違いはなんでしょう?

ウアルカイシさん:
中国共産党は、アジア全体の歴史、20世紀の中国の歴史の発展において、最大の不幸でした。中国共産党は、民主的な自由を実現することを全く望まず、拒んだのです。

Q.中国の台湾統一に向けた圧力が強まっていると感じますか?

ウアルカイシさん:
中国共産党が中国で行っているのは、言論や思想の自由ではなく、長期にわたる洗脳で、中国国民に統一という考えを持たせ、いつか台湾を統一できるようにすることだと思います。しかし、ますます彼らが真実を知り、世界の仕組みを見るやいなや、中国と台湾が全く異なる2つの「国」であることを知ることになるでしょう。
この相容れなさは、まず第一に、それぞれの人が大切にしている価値観に反映されます。中国と台湾は「まったく違う」ということが、台湾との統一を望む人たちを含め、中国人でさえも「統一はそんなに簡単なことではないのかもしれない」と感じさせているのです。
私は長年台湾で暮らしていますが、台湾は中国から独立した「国」である。将来の運命は、台湾の人が決めるしかないのです。

Q.いずれ香港のように台湾にも中国の影響力が及んで、中国色に染められてしまうことはありませんか?

ウアルカイシさん:
まず、現在の台湾は完全に独立しています。そして、完全に民主的です。
私たちの政府は自分たちで選んだものです。植民地ではないので、中国に戻るということはないのです。これが香港との最大の違いです。
さらに根本的な違いは、台湾の自由と民主は、自身が獲得したものであるということだと思うのです。中国共産党は、台湾が香港と同じではないことを知っています。彼らが台湾を完全に支配する手段はないのです。これは、台湾も知っているし、中国も知っている現実だと思います。

Q.どのような形であれ、中国は台湾を将来統一すると思いますか?

ウアルカイシさん:
中国共産党を理解すれば、彼が言うことが必ずしも本心ではないことがわかるはずです。
彼が語る目標は、必ずしも彼が達成するために追求するものではありません。彼が言うことの多くは、実はスローガンなのです。それらは、自国の人々を欺くためのものです。
彼はまた、世界をも欺いているのです。共産主義、社会主義、民族主義、愛国主義などの言葉は、彼らの欺瞞の一部なのです。この政権は、国民を騙すことに非常に慣れている。
願わくば西側諸国、日本のような国々が、発言と意図することの大きな違いを見分けることができるようになればいいのですが。

Q.台湾の民主主義は、中国の圧力をかわして、生き延びることはできると思いますか?

ウアルカイシさん:
私たちの自由と民主主義は、私たち自身の努力によって獲得されたものです。台湾の民主化のプロセスに参加できたことを光栄に思っています。私の個人的な経験からすると、このような民主主義と自由は、私たちが最も誇りに思うもののひとつです。
確かに軍事的脅威にさらされています。ここは島です。逃げ場はありません。自分たちの身は自分たちで守らなければならないのです。しかしある日、共産党が台湾に対して軍事的手段、つまり侵略を行うリスクを取った場合、私は2300万人の台湾人が立ち上がり、抵抗すると信じています。 我々の自由と民主主義を守ることを。私たちは、自由と民主主義を放棄することはできないというのが、台湾の99%以上の人々のコンセンサスとなっています。