流出機密文書で明らかになった幻の「モスクワ攻撃計画」

ブダノフ氏が侵攻から1年となる2023年2月24日に、モスクワを含むロシアへの大規模攻撃を計画していたことが、流出した米国の機密文書で明らかになった。米紙ワシントン・ポストの報道によると、ブダノフ氏は「情報局の総力を結集し、大規模攻撃を準備せよ」と部下に指示。攻撃対象はモスクワのほか、ロシア黒海艦隊の一部が移動した港湾都市ノボロシスクなどだったという。米国の情報機関はブダノフ氏の通信を盗聴・監視していた。

米政府はブダノフ氏の強硬姿勢がプーチン政権の核兵器使用を誘発しかねないと判断し、ウクライナ側に自制を求め、ウクライナ側も計画の中止を了承したとされる。しかし、ブダノフ氏本人は欧米メディアとのインタビューで「ロシアは、単なる軍事的敗北ではなく国家崩壊を招くことになる核攻撃を行うことはできない」とあくまでも強気だ。

「ロシア軍がすべての領土から撤退するまで戦う」

キーウに特殊部隊を投入してゼレンスキー大統領を殺害し、首都を制圧して傀儡政権を樹立する…これが侵攻当初のプーチン大統領のシナリオだったが、大きく外れた。

今後の戦況についてブダノフ氏は「反転攻勢は間もなく始まる」としたうえで、2014年に併合されたクリミアも含め「ロシア軍を全ての領土から撤退させるまで戦い続ける」と強調する。

ロシア国内で相次ぐ爆発やドローン攻撃はウクライナによる大規模反転攻勢の狼煙なのか…その答えは、近く明らかになるだろう。

TBSテレビ報道局解説委員
緒方 誠