「絵に描いた餅」とは、こういうことを言うのでしょう。高速道路の有料期間が、これまでの2065年から、最長でさらに50年間、2115年まで延長されることになりました。しかし、2115年に高速道路が無料化されると信じる人は、恐らくいないでしょう。
高速道路無料化は、2065年から2115年へ
高速道路の有料期間を最長で2115年までとする改正道路整備特別措置法は、5月31日の参議院本会議で可決、成立しました。これまで「有料期間は2065年まで。その先は無料化」ということになっていました。しかし、高速道路の老朽化に伴う改修や更新に、さらに1.5兆円程度の追加費用がかかることになったことから、その財源確保のために有料期間をさらに50年延長することになったのです。
1.5兆円の追加財源は、老朽化対策だけでなく、4車線化工事やEV用充電施設の整備にも充てられるそうです。
「道路は無料」が原則だが
そもそも道路は公共財なので、無料公開が原則です。高速道路は建設に多額のコストがかかるため例外として有料が認められていますが、それでも料金徴収によって建設費を返済したら、その後は無料化することが、いわば建前になっています。
名神や東名など、開通から50年以上も経った高速道路が未だに無料にならないのは、新しい高速道路がどんどん伸びて、建設費が次々と上乗せされたため、いつまで経っても建設費が完済されないからです。
2005年に日本道路公団などが民営化された際に、40兆円あった債務を2050年までにすべて返済し、その後は無料化することがいったん決まりました。
しかし、2012年に中央道の笹子トンネルで崩落事故が起きると、一層の老朽化対策が必要ということになり、有料期間は「15年延長し2065年まで」に変更されました。そして、今回の再延長で、有料期間が「さらに50年延びて2115年まで」となったたわけです。