「秋だけじゃない」人里やショッピングセンターに出没するクマ

近年、石川県内で人里への出没が目立つクマ。大量出没した2020年には、加賀市の温泉街や、白山市の住宅の玄関先でクマが人を襲うなど、年間で過去最多の15人が重軽傷を負いました。

ドライブレコーダーがとらえたクマ


視聴者のドライブレコーダー「あークマや!こわい…」

記者
「目撃されたクマは新幹線の工事現場を渡って、あちらに見えます5番の通用口から建物の中に入っていったという事です。」

ショッピングセンターに籠城したクマ

同じ年にはJR加賀温泉駅前のショッピングセンターで、13時間以上にわたりクマが籠城。

そして、ここ数年は気になる傾向も…。4月に開かれた県の連絡会議では、エサを探し回る秋ではなく、春から夏にかけてクマの目撃件数が増加傾向にあるというデータが示されました。クマから身を守るため、どのような対策が必要なのでしょうか。

ツキノワグマ目撃情報

ツキノワグマの目撃件数をまとめたグラフ。人身事故が相次いだ2020年は、9月から12月の4か月間で654件の目撃情報が寄せられ、突出していることがわかります。一方でこのところは、1月から8月にかけての目撃情報が200件前後と、以前と比べて増加傾向にあります。

クマの生態などに詳しい、石川県立大学の大井徹特任教授に話を聞きました。

Q. 秋以外で出没が増えている理由は
県立大学・大井徹特任教授
「クマというのは以前は山奥の動物だった。それが最近、人里に生息域を広げている。そしてそこで定着・繁殖している。そうしたクマの中でも若い個体は警戒心が薄く今の時分、桜の木のサクランボを食べるため木に登って目撃されてしまう。それで目撃件数が増えている」

Q. 大井先生はどのような研究を
大井徹特任教授
「クマが立ち上がった時に胸の月の輪がはっきり見える。この月の輪は個体によって違う。ここに出てきて撮影されたクマと別のところに出てきたクマが同じなのか、違うのかがわかる。そうした結果をまとめて生息数を推定するほか、同じ個体が定着しているかどうかなどを調べている」

Q. クマが活発に動く時間帯は
大井徹特任教授
「天候は雨風問わずに動き回るし、餌があるところに出てくる。時間帯は、山の中では昼間中心に動いているが、人里周辺に出てくる場合には夜間であることが多い。そのため人間の活動時間と重なる朝方や夕方はクマとの出会いを注意しなければいけない」

Q. 近年増加する住宅地などでの目撃情報…クマに遭わないためにすべき対策は
大井徹特任教授
「まず引き寄せないことが大事。クマは餌のあるところによってくる。人里周辺のクマの餌は人間が出す生ごみ、あるいは人間が植えた柿の木や栗の実がクマを引き寄せる。生ごみはきちっと処理する、また柿や栗などは早めに収穫する、あるいは取らないならば伐採することも必要。至近距離で出会わないためにやぶを刈り払うことも大事」