ーー 若者は法制化に影響を与えているのでしょうか?

許さん:
若者の多くは同性婚を支持しています。それは2004年に台湾で男女平等教育法が成立したこととも大きく関係しています。学校では最低4時間の男女平等教育を行うことが義務づけられました。これは非常にポジティブに作用していると思います。

ーー日本はまだ法制化されていませんが、台湾から見て今の日本社会はどうでしょうか?

許さん:
日本でも同性婚が成立する可能性は確実にあると信じています。

簡さん:
日本と台湾は非常に似ているところもあります。例えば司法が明確な判断を下せば、日本の国会が態度を変えて法律を制定する可能性もあります。首相に法案成立を求めるお手紙を書くのも有効だと思います。
実は私たち、ちょうど日本から帰ってきたところなんです。東京で手をつないで道を歩いている私たちの姿を見て、みんなが暖かく受け入れてくれるようになるといいなと望みます。

許さん:
市民社会の努力はかなり重要だと思います。また、与党の保守的な体質が大きな障害になっていると思いますので、団結して訴えかけ、彼らが変わるようにする必要があると思います。

ーー 岸田首相は、「同性婚を認めれば、社会は変わってしまう」と発言しましたがどう思いますか?

許さん:
社会は間違いなく変わりました。それもさらに良い方向に。もっと平等に。
実際、同性愛者の結婚を認めないとか、同性愛者に差別的な態度をとるというのは、文明社会ではないですからね。

簡さん:
もちろん社会は変わるでしょう。そもそも変化を恐れてはいけないと思うのです。社会は常に変化するものです。 昔は女性は家にいるべきで働いてはいけない、夫に従うべきだという考え方でしたが、今は変わっています。いわゆる伝統は決して固定的なものではなく、社会は常に変化しています。過去の良いものは残せば良いし、悪いものは変えるべきだと思います。

「私たちはもっと幸せになりました」

ーー あなたたちは今、幸せですか?

許さん:
私たちはこれまでもとても幸せでしたが、社会的にも法律的にも認められて、もっと幸せになりました。結婚してからは、彼女が私のパートナーであることをことさら説明する必要もなく、私たちの関係は理解されやすくなりましたし、多くの家族が「あなたの子どもは(同性愛でも)間違っていない」と法律が認めてくれたことに安どしていると思います。

(前編・中編後編の前編)
聞き手 JNN北京支局長 立山芽以子