日本ではまだ認められていない「同性婚」。お隣、台湾では4年前の2019年に「同性婚」が東アジアで初めて認められ、1万組以上のカップルが誕生しています。
一方日本での議論は、進んでいません。岸田総理は国会で「同性婚を認めると社会が変わってしまう」と答弁、慎重な姿勢を見せています。同性婚を認めた台湾の社会は変わってしまったのか?なぜ台湾では同性婚が実現できたのか?同性婚の実現に向け活動を続けてきた当事者に話を聞きました。
(前編・中編・後編の前編)
同性婚実現のため闘い続けたカップル 「社会は変わった。それも間違いなくいい方向に、もっと平等に」
長らく同性婚の法制化運動に取り組み、2019年5月、同性婚が認められたまさにその日に婚姻届を提出した許秀雯(きょ・しゅうぶん)さん(50)、簡至潔(かん・しけつ)さん(45)。現在もLGBTなどの権利保護運動や支援を行っています。

ーー 台湾は、LGBTに対して寛容な社会だったのでしょうか?
許さん:
かつてはLGBTをタブー視して、話題を避ける、議論しない社会でした。今でもまだ同性愛を受け入れない人がいることは否定できません。しかし、全体的に見れば、同性愛に対する社会的な受容度は徐々に高まっており、アジアの中では比較的進んでいると思います。
ただ、まだ家族に自分が同性愛者だと言えない人もたくさんいます。社会がフレンドリーになったとはいえ、職場や家庭で自由に自分を表現できるようになったわけではありません。
ーー あなたたちも差別を受けたことがありますか?
簡さん:
若い頃、教師になりたかったのですが、とても良い成績を収めることができたのに、「あなたはレズビアンだから認められない」と言われました。その時初めて、努力しても才能があってもなれないものがある、同性愛者だからなりたいものになれない現実を知りました。
ーー 2019年、台湾はなぜ同性婚を法制化できたのでしょうか?
司法が2017年に「2年以内に同性婚を認める法律を作る必要がある」と宣言したのが大きかったです。これがなければ今も同性婚は成立していなかったと思うのです。