悪質な現地の送り出し機関と日本側の「利権」なくせ
今月、法務大臣に提出された政府の有識者会議の中間報告書では、外国人に対する人権侵害の温床とも指摘される転職の制限が緩和される見通しなどが示された。技能実習という、実態と離れた名称も廃止される。しかし、長年技能実習生の支援に当たってきたNPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」の鳥井一平さんは、「今後も仲介を民間任せにしては同じ問題が起きる」と指摘する。
NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク 鳥井一平氏
「なぜこうした悪質な送り出し機関が存在してきたのか。それは受け入れる日本の監理団体や企業に“うま味”があるからです。制度の下で生まれた利権の構造的な部分に手を入れないと、本質的な問題は解決しない」

鳥井氏は「看板のかけ替えでは意味がない」とした上で、国や自治体が責任をもつ必要があると考えている。
技能実習生の多くは、母国の送り出し機関に数十万円の手数料を支払うために多額の借金を抱えて来日する。日本人への接待費用やキックバックはこうした手数料から支払われる。重い負担を強いられるのは、外国人実習生だ。
搾取や人権侵害が後を絶たなかった構造的な問題に目を向け、弱い立場にある外国人労働者の人権を守るための議論が不可欠だ。
(TBSテレビ 司法記者クラブ 長谷川美波)