ーー「推しからの卒業をSDGs貢献に!アクリルグッズ感謝祭」の反響はいかがでしたか?
アクリルグッズ等再生利用促進協議会 山田裕介 事務局長
「参加した皆さんからは『(こういった活動が)あった方がいいんじゃないのか』という感想や『捨てるのが後ろめたかったからありがたい』という声などをいただいています」
ーーなぜこのイベントを行おうと思ったのですか?
山田 事務局長
「『アクリルはリサイクルできる』ということがあまり知られていないので、アクリルの再活用の可能性を皆さんにもっと知ってもらいたいと思ったからです。これはそもそも私たちがこの協議会を設置した目的でもあります」
ーー確かに、自治体ではアクリルは普通ごみとして扱われていました。でも、アクリル製品もリサイクルできるのですね。
三菱ケミカル株式会社 倉地与志也さん
「できます。ただ、国内では、リサイクルはごく少量、数%あるかないかです。なぜかというと、元々アクリルを回収してさらに再度使う、という発想自体がなかったからです。従って回収をされる業者というのがなく、広がらなかったわけです」
ーーなぜアクリルを再利用するという発想がなかったのでしょうか?
倉地さん
「これまではアクリル製品の量が少なかったからだと思います。ペットボトルなどは、リサイクルできる、ということを皆さんご存じですよね。世の中に出回るプラスチックとしては、ペットボトルなどのPET樹脂、コンビニの袋などに使われるポリエチレンや食用タッパーなどに使われるポリプロピレン、いわゆる“汎用プラスチック”が、大部分を占めているので、そういった量の多いものからリサイクルが着手されていった、というのが背景にあります」
ーーコロナ禍ではアクリル板が大量に作られましたし、アクスタなどアクリル製品も増えていますよね。今後アクリルのリサイクルも進んでいくのでしょうか?
倉地さん
「三菱ケミカルでも、回収したアクリル製品をもう1回リサイクルをする実証試験をしている段階で、2024年度末の商業化を目指しています。これが出来るというふうになったら、さらに新しい製品に生まれ変わらせるアップサイクル等も進んでいくかもしれません。アクリル製品の再活用は可能性が広がっていくと思います」

3月の「推しからの卒業をSDGs貢献に!アクリルグッズ感謝祭」では「アクリルを集める」というところにフォーカスを当てイベントを開催しましたが、協議会によりますと、集めたアクリル製品を「新しい製品に生まれ変わらせる」ことを年内を目指してやっていくということです。また、「アクリルグッズ感謝祭」も、毎年の恒例行事として行うことを計画しているそうです。
アクスタを無駄に捨てたくないとの思いから取材を進めると、アクスタを救おうとしている人たちに出会うことができました。もしかするとアクスタに限らず、何も考えずに捨ててしまっている多くのものも、探せば活用法があるのかもしれません。身の回りのものへの意識を少し変えてみると、再生利用の可能性はまだまだ広がりそうです。