強気にならざるを得ない事情も

公明党が強気にならざるを得ない事情もある。それは勢力を拡大する「日本維新の会」の存在だ。
これまでの衆院選で、公明党が候補者を立てた大阪の4選挙区などには、候補者擁立を見送ってきた維新だが、若手を中心に「当然候補者を立てるべきだ」との声が強まっている。14日に続投が決まった維新の馬場伸幸代表は、次の衆院選で野党第一党を目指すと表明し、全ての選挙区で候補者を擁立する方針を示した。こうした状況を受け、公明党関係者は、口々に維新について言及する。

「今後の焦点は大阪。維新に対してもファイティングポーズを取ることになる」
「維新の勢いからすると、こちらとしては大阪の選挙区に出されたら終わり」

どの関係者も、次期衆院選の大阪選挙区で維新が候補者を立ててくることは覚悟しており、他の選挙区での議席確保が急務となっている。

自民党「代替案提示」の方針

緊迫する自公関係だが、自民党幹部の一人は公明党との折衝について、こう明かした。

「『28区は無理だけど、ここならどうですか?』という代替案を提示する。どの選挙区を提案するかは調整中だが、次は公明党がこたえる番」(自民党幹部)

週明けに岸田総理や茂木幹事長らが改めて対応を協議するが、東京28区での公明党候補の擁立を認めないことを確認する一方、妥協点を提示する戦略だ。

公明党関係者が「振り上げた拳をおろすための理由も必要。落とし所を探る必要がある」と頭を悩ましているなかでの提案。両党ともに引くに引けない事情もあるなか、混迷を極める“自公抗争”の決着は果たして。

(TBSテレビ報道局政治部 与党担当 中野光樹)