小学生15人に1人「ヤングケアラー」成人後も社会から孤立
大人の代わりに家事や家族の世話、介護などを日常的に行う子どもは「ヤングケアラー」と呼ばれる。
厚労省の調査(2022年公表)では、小学6年生の“15人に1人”が「家族の世話をしている」と回答している。クラスに1〜2人の割合で「ヤングケアラー」がいる計算だ。
国に先駆けて「ヤングケアラー」の実態調査を行ってきた大阪公立大学の濱島淑恵准教授に話を聞いた。

大阪公立大学 濱島淑恵准教授(社会福祉学)
「毎日の家事、家族の感情面のサポートなどに追われて、勉強や就職、友達づくりを諦めざるを得ないヤングケアラーも多い」
濱島准教授は、被告の事件について「特異なケースとは思えない」と語る。ヤングケアラーや元ケアラーから「一歩間違っていたら、事件の当事者になっていたかもしれない」という声をよく聞くという。「ヤングケアラー」をめぐっては、4月に発足したこども家庭庁が司令塔となり課題解決に取り組むとされている。だが、濱島准教授は「子どもの支援のみに留めてほしくない」と訴える。
濱島准教授
「ヤングケアラーは20代、30代以降も続く問題。成人すると、家族の世話も“当たり前”と見られ、より一層孤立してしまうこともある。当事者が経験を共有し交流できる場を作るなど、社会全体でサポートすることが重要だ」