手術で声帯を摘出した77歳のがん患者 光免疫療法での治療を提案される

 この治療を受ける77歳の患者の男性。15年前に下咽頭がんがわかり、放射線と抗がん剤治療を受け、手術で声帯も摘出。その後も何度もがんが見つかり、治療してきました。
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 (患者の男性※筆談)
 「今まで胃・喉・舌・前立腺、今回12月に咽頭、6回目の発症。僕から言わせれば口から胃までどこにがんができても不思議ではない」

 治療を繰り返してきた男性に医師から提案されたのが、新しい光免疫療法でした。どんな治療かというと、患者は入院してすぐ、光に反応する特殊な薬を投与されます。薬は特定のがん細胞に集まるようになっているそうです。
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 時間をかけて細胞に薬を付着させていきます。光に反応するため、外光の影響を受けないよう病室を暗くして約1日待機。
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 手術室に入る時も、光を避けて全身を布団で覆う念の入れようです。麻酔をかけて、光をあてる準備に入ります。
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 (男性の主治医 四宮弘隆医師)
 「これがレーザー。同時に4本光をあてることができる」
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 患者のがん細胞にはレーザー光に反応する薬が集まっていて、光をあてると破裂する仕組みです。がん細胞だけを狙い撃ちができ、将来、がんに対する免疫も高められるのではと期待されています。
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 男性は前に手術した口の中に新たにがんが見つかっていました。
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 患部がはっきりと映る内視鏡を使って、腫瘍の部分を確認しながら光をあてるための針を刺します。レーザー光をあてる前に全員、目を保護するためサングラスを着用。いよいよ光をあてていきます。
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 (四宮弘隆医師)
 「光をあてているので、薬と反応して腫瘍細胞が死んでいっている。光に反応する薬がくっついていなければ、(他の細胞に)何の害もないです」

 一見わかりませんが、投与された薬と光によってがん細胞が死滅しているのだそうです。手術は約1時間半で終了しました。