「これが国民がロシアの敗北の予感を抱く原因だ」

この世論調査で自由な回答を求めたところロシア国民の中に“特別軍事作戦”ではなく“戦争”と言う言葉を使う人が増えたという。もはや“戦争”という言葉はタブーではないのか。

『レバダセンター』 グドゥコフ副所長
「ずいぶん前からタブーではなくなっている。戦闘はもう15か月間も続いて、様々な軍や兵器が投入されている。だから国民はこの偽善的な用語(=特別軍事作戦)を使わなくなった。(中略)個人的には人は停戦を望んでいる。しかしこの国の国民、この政府の国民、この偉大な大国の国民として自分を認識した時、ロシア国民はこの戦争を支持する。これは不安定な構造で、すべてがどちらかが勝利するかによって決まる。これが国民が反転攻勢に対する緊張とロシアの敗北の予感を抱く原因だ。これは調査結果の最も重要な所見だ」

ロシア国民として支持はするが、本心は停戦を望んでいる。そこに“敗北の予感”が漂うという。
グドゥコフ副所長には過去にも話を聞いた。独立系機関の人物なので、これまでもプーチン氏やロシア政府に厳しい表現もあったが、“ロシアの敗北”という言葉が出たことには番組のニュース解説・堤伸輔氏も驚いたという。

国際情報誌『フォーサイト』元編集長 堤伸輔氏
「ここまではっきり“敗北の予感”という表現を使ったのは、それだけロシア国民の変化をこの調査から感じ取ったからでしょうね。でも結局はプーチン氏自身のレトリックがそうさせていると思う…(中略)戦況が悪くなると“ウクライナの背後には西側がついていて・・・”(と言い出す、これによって国民は)自分たちの軍事力では対抗できないのかって冷静に考えるとわかってくる。あるところまでは有効だったレトリックが、ある時から国民の不安を掻き立てる・・・。今、潮目が変わる状況にあるのかもしれない」