■「迫害を受けるおそれ」を革命的に変えない限り・・・
それでもペニャさんには、チリに帰れない事情があります。
記者:
これは誰ですか?
ペニャさん:
僕です。テログループに捕まった時。
ペニャさんはチリで拉致され、拷問を受けたのです。後遺症で左耳の聴覚をほとんど失い、激しい耳鳴りの症状が残りました。
ペニャさんの父親が、かつてチリで“虐殺を行った軍事政権に協力”させられたことで、一家は“報復の対象”となり、今も帰れないというのです。
ペニャさん:
帰れない、危ない。本当危ない。
1度目の難民申請をしたペニャさん。しかし、認定されませんでした。
日本で難民認定されるには、その人が個人的に命などを狙われているという「迫害のおそれ」を証明しなければなりません。この「迫害のおそれ」を証明して、難民認定されるのは0.7%(2021年・難民支援協会調べ)という狭き門。

ペニャさんはその「迫害のおそれ」が証明できないとされたのです。
政府は今、ウクライナ避難民の保護を掲げ「準難民」制度を作ろうとしています。しかし「準難民」として認定されるためにも、やはり「迫害のおそれ」を証明しなければなりません。
駒井知会弁護士:
「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖」というところを革命的に変えない限り、「準難民」の制度を作ったところで、本来保護される人たちは増えないです。ウクライナの方も、ウクライナ以外から逃げてくる方々もきちんと守る制度、難民を国際水準できちんと守るシステムを作っていく。
ペニャさんも“準難民”を巡る議論の行方を複雑な気持ちで見つめています。
ペニャさん:
日本の中を見てください。仮放免の人がいっぱいいます。ウクライナの人は助けたい。でも、私たちはいつ…。仕事したい。料理が作りたい。