広島県内にはおよそ1万5000人の技能実習生がいます。そもそも、国が定める技能実習制度の目的は、「技術を伝える」こと…。一方で、2年前の県の調査では、実習生を受け入れた理由について9割以上の企業が、「日本人だけでは人材確保が困難だから」と回答しました。

そして、実習生側も、この制度のために多くが、借金をして「人生をかけて」来日し、母国への仕送りを続けていることも現実です。制度の建前と実態がかい離していることは浮彫りとなっています。

さらに、全国で20万人以上(2021年10月末・厚生労働省「外国人雇用状況」より)いるというベトナム人技能実習生の、「妊娠・出産」は、社会問題となっています。

そもそも国のルールでは妊娠したことを理由に帰国を強制することは許されていません。一方で、2020年末までの約3年間で、妊娠または出産を理由とする技能実習の継続困難事例は、政府が把握しただけで637件に上っています。(参議院・204回国会答弁書より)。


尊い命を…、働きに来たのに…、誰かに言えば良かったのに…。彼女を責める言葉は、いくらでも思い浮かべることができます。しかしこれを「彼女の犯罪」で終わらせてしまうことに私はなんともいえない罪悪感を感じ、取材を続けています。

裁判員裁判は、あす始まります。

RCC中国放送/岡本幸