黙秘…信頼関係を作って本人の供述を

 威力業務妨害で逮捕はしましたが、当然ですが爆発物取締法とか火薬取締法違反はつきますし、爆発物の威力がどのぐらいのものがあるのかっていうことをこれから検証していきますが、それによっては起訴の時点で、威力業務妨害って3年以下の懲役と低い。ただ、本人が殺害する意識がなくても未必の行為で、こういったものを爆発させれば破片等によってけが人が出る、もしくは最悪の事態が想定されるということで、私は殺人未遂は、大いにあり得るというふうに思っています。

―――和歌山県警は、爆発した部品が残っていないか、爆発現場そばの海中を捜索しています。そして爆発した筒ともう1本、現場に残されていた筒、この両方の殺傷能力などについて調べているとみられています。火薬の量がそれほど多くなかったんじゃないか?殺傷能力はそれほど高くなかったんじゃないか?という指摘もあったんですが、小川さんはどう見ますか?

小川泰平氏: 火薬の量は、もう一つ押収している筒がありますから、実際に投げたものが全く一緒かどうかわかりませんけども、火薬の量とかそういったことは当然調べることができます。ただ実際に飛んでいるものの中にナットとかボルトとかが入っているわけですね。

 そういうのを入れている、もしくはこのパイプ爆弾の周りにつけていたんじゃないかといったようなことがあるということは、当然人に危害を及ぶことを想定してやっている。「そんな大きなけが人を出そうと思ってなかったんじゃないか」という方もいますけど、私は逆で、200人も集まっているところで爆発させたら、けが人が出ない方が不思議だというふうに思います。

 (ネットやSNSで爆発物の製造方法が出ていることについて)今年の3月から、そういったものを削除できるようになりました。ただ私も取材を続けていくと、それは日本国内の法律で日本国内のSNSとかインターネット記事であって。海外の記事を見ると、手榴弾的なものが市販されてもいます。そういった改良型は日本語ではないですけど、ある程度語学さえわかれば、他国のサイトで見ることは可能です。

 「威力があると思わなかった」は、本人がそう思うだけであって、本人が思わなければ何をやっても罪にならないわけでも何でもない。やはり一番は目的ですよね、動機です。岸田総理に何か危害を加えてやろうと思ったのか、それとも岸田総理がいるようなところでこういった大きいことを起こせば、自分が主張したい、例えば選挙に関することをみんなに知ってもらえるからやろうとしたのか、というようなところが明らかになるはずですが、本人がいかんせん今のところ黙秘ですから・・・。そこやっぱり信頼関係を作って、取り調べにおいて本人に供述させる必要があるのかなと思います。

◎小川泰平氏(元神奈川県警刑事 30年の勤務経験 第一線で数々の事件を解決)(2023年4月18日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より