「愛があっても、こう言うことが起きる」

作者ちりさん(30代)は、子育ての合間に2年前の体験を描いた。

ーー布団ドンドンした時、うーちゃんは痛がってなかったんですか?

ちりさん:
はい。痛がってなくて、はっとして強くどんどんするのを止められました。

ーー今回の体験を漫画にしようと思ったのはどうしてですか?
酷い親だと言われちゃうんじゃないかという思いが凄くあって、悩んだんですけど。でも同じような気持ちの人もいるのかなと思って、描くことに決めました。

読者のコメントは、普段の4倍。約100件に上った

ちりさん:
『同じようなことをした』というコメントがたくさんあって、当時は私だけだと思っていたんですけど、でもそうじゃないんだと思ってちょっと気持ちが楽になりました。

ーー布団をドンドンした後はどう持ち直した?
その日は1回1人になって、気持ちを落ち着かせて、また戻って。
ずっとはできないんだよって言う事を言い続けていたら、“うー”がだんだん理解して夜は落ち着いてきました。虐待って子どもの事が嫌いで痛めつけてるものかと思ってたんですけど、でもすごい愛があっても、こういう事が起きるんだなと思って。

子どもを叩きそうになったことがありますか?町の人に聞いてみると…

7歳・3歳を育てる40代父親
「あります。叩いちゃいましたね。YouTubeずっと見てたりとかで、やめなさいよと言ってもやめなかったり、何回言っても言うこと聞かなかったり、ふてくされたりするとカチンときましたね」
「仕事のこと考えてたり疲れてたり、そもそもイライラしてるのもあるんでしょうね。叩いた後ですごく反省しますけど」

8歳・4歳を育てる30代母親
「子どもが好きでやってる習い事で、『この時間までに準備をしてね』と伝えても準備してなくて。毎回毎回続くとすごくイライラして、叩くまではないけど、叩きたいって心の中で思って。ウっ!って。自分は今、旦那さんに話したりママ友に話せる状況があるからそういう(叩く)のはしてないけど、本当に一人だとそういう可能性はあるな」

「体罰が必要な時は無い」虐待を踏みとどまる“根本的な考え方”とは

小川彩佳キャスター:
ここからは虐待に至ってしまった親の回復プログラムを開発し、虐待防止に取り組んでいらっしゃるMY TREE代表理事の森田ゆりさんとお伝えします。

山本恵里伽キャスター:
“子どもを叩きそうになったことがあるか”街で聞いてみたところ、他にもこういった声がありました。

2歳の子供を持つ男性(40代)
「おもちゃを投げるので注意すると、自分に向かって投げてくるので叩いてしまった。余裕がないと行き過ぎるかもしれない」

3歳と5歳の子供を持つ女性(30代)
「疲れている時やイライラしている時に声を荒らげてしまう。子育てでこんなにも心も体力も削られるとは思わなかった」

小川キャスター:
誰もが他人事ではないですよね。むしろ自分は絶対に虐待しないと感じていらっしゃる方ほど、危うさをはらむかもしれないとも感じます。虐待しそうになってしまったとき、どうしたら踏みとどまることができるんでしょうか?

MY TREE代表理事 森田ゆりさん:
まず怒りがばあっと爆発しそうになる、コントロールできない状態の時は、背筋をすっと伸ばしてゆっくりと鼻から息を吐きます。呼吸法、瞑想法が抜群の効果を、私達のプログラム、MY TREEでは発揮してきました。
「6秒数えると良い」と言われてるみたいですけども、実は逆効果です。6秒数えている間に怒りが倍増していきますから。だから何秒でもいいです、深い呼吸を伴う瞑想は脳トレですから。1分でもいいから毎日練習していると、硬直している体や心を緩めることにも役立ってきます。

山本キャスター:
では、どういったときに深刻な身体的虐待に繋がってしまうのか。森田さんによりますと、「体罰は時には必要だ」という考えを持った上で、多重のストレスがかかってしまう、さらに孤立してしまうと、深刻な身体的虐待に繋がってしまうということなんですが、具体的にどういったことなんでしょうか?

森田さん:
体罰は時には必要という、「時には必要」っていうのが曲者なんです。私たちMY TREEの親の回復プログラムを22年間やってきて、その中でも本当に何度も何度も経験してきたことは、皆さん「絶対に体罰はいけない」と思えないんです。時には必要だった。でも「時には必要だ」と。親が必要なときはいつでも「時には」です。
「体罰が必要なときは無い」という考え方に変えない限り、いつでも体罰は必要なことになってしまいます。でもそれだけでは虐待は深刻にはならないですけど、そういう考え方を持っていて、なおかつストレスが同時に2つ3つ重なっている。さらにワンオペで子育てしている、あるいは夫婦だけで孤立。この3つが重なると一気にエスカレートします。そして、警察沙汰になるような深刻な身体虐待が発生した。だからまず、一番簡単なのは「体罰が良い時はない」と考えることがすごく大切だと思います。

小川キャスター:
体罰がいい時は無いんだということですけれども、続いてそれを踏まえた上で、虐待に至ってしまったあるお母さんの体験談をお聞きください。