■吉野家「過去にビザが取得できず内定取り消しがあったため」

吉野家は、過去にビザを取得できずに内定取り消しをせざるを得なくなったケースがあったため「取り消された人の心象をおもんぱかり、やむなく断っていた」と釈明し、ビザ取得が採用条件であることなどについて「説明が不足しており、参加希望者への連絡にも不備があった。誠に申し訳ない」としています。

これについてAさんは…
「理由が納得できない。まず確認をとってもらいたかったのはもちろん、そもそも説明会は会社を広く知ってもらうためのもの、みんなが受けられる権利を持っているのではないでしょうか」

■吉野家「今後は全員説明会への参加可能に」

吉野家は説明会の参加を断るメールをAさんのほかにも複数の学生に送っていました。

問題が報道されて3日後となる5月9日、断った参加希望者全員にメールや電話などで連絡を取り謝罪し、今後予定している説明会に参加できる旨を伝えたということです。

説明会では内定後に就労ビザを取得できないリスクを周知する方針で、外国籍の人も採用選考会へ進むことができるようにするとしています。

■アルバイト出身の社長も… 現場重視の会社はどこへ?

吉野家といえば記憶に新しいのが「生娘をシャブ漬け戦略」。4月、当時の役員が大学の社会人向け講座で女性を蔑視する発言をした問題です。怒りを感じた女性も少なくないのではないでしょうか。

この時は、「女性の顧客拡大」に力を入れているなかでの「女性蔑視発言」でした。

今回は、「ダイバーシティ」を掲げるなかで「”外国籍”だと勝手に判断し参加を断る」です。

いずれも「企業が目指すもの」と「企業の行動」がずれていると感じます。

ある吉野家の社員は一連の問題を受けてこう話していました。
「社員のほとんどが店舗勤務の経験があり、商品やお客様に熱い愛情を持っている。起きてしまった問題については吉野家に非があり申し訳ないという一心だが、『どうしてしまったのだろう』と感じてしまう」

吉野家は、アルバイト出身者が社長に就くなど、現場に重きを置く会社として知られていました。現在店舗でもたくさんの外国人従業員が働いています。ダイバーシティがただのアピールで終わらないようにしてほしいと思います。


報道局経済部・外食担当 根本理沙