井の中の蛙…でも「自分の井戸の中って、結構楽しいんだぜ」
嫌なことがあったり、落ち込んでいたりする時ほど筆が進むというヨシタケさん。絵本の製作も独特で、普通、絵本は大きく描いたものを縮小して絵本にしますが、ヨシタケさんの場合、小さく描くのが定着しているため、描いたものを150〜200%拡大して絵本にするという、珍しいスタイルでやっているのだそうです。
ところでヨシタケさん作品は、日常の些細なことから、深い人生観まで多彩に描かれます。どんな時にアイデアがわいてくるのでしょうか?
絵本作家 ヨシタケシンスケさん
「自分自身があんまり外出るのが好きじゃなかったり、出不精とか、友だちも少なかったりとか、部屋で1人でジーっとしているのが好きなんですね。そのとき思い浮かぶのって、こういうことしかない。
世界を渡り歩いて、人の絆の素晴らしさを表現するのは僕には出来ないんです、やったことないから。
井の中の蛙でしかないんだけど、自分の井戸の中は誰よりも詳しいというか。井戸の中って結構楽しいんだぜというか、自分の半径3メートルだけでやっていることだけでも、色々拾いどころってあるんだよっていうのを自分に言い聞かせながらやっています」

Q子どもの絵が多いのはなぜですか?
「子どもの絵が多いのは、子どもが好きというよりは、子どもが好きそうな物が好きなんですね。ちっちゃい子が机の下に潜り込んでいるのすごく羨ましいんですよ、僕もやりたいそれっていう。
自分を子どもくらいちっちゃくして、机の下に潜り込んでいる自分の絵を描くと気が満足するというか。
やっぱり自分が親として子育てしていくなかで、自分の子どもを見て、「あーそれやってたやってた、面白いよね」ってことだったり、「いいなそれ」って書き留めていることもあって、大人ができなくなっていることや、自分でやらなくなったことを見たり、思い出したりしたときに描いている。そういう大事なものを思い出させてもらいながら記録して、1人でニヤニヤするっていうのが、自分にとっての楽しみなんです」
8日から開催の展覧会、あなたも新しい発見や出会いがある、かもしれない。