■共感を呼ぶ歌詞のワケ「細かいところを見るのが好き」
良原:世の女性、特にaikoさんファンの方は“自分のことを歌われている?”ってぐらい、思っていると思うんですけど、どこが共感されてると思われますか?
aiko:私が曲を書き始めたきっかけは「失恋した、こんな事思った!マジで本当に何なんやろう!」と思って書いたんです。でもこんなこと思っているのは自分だけなのかなと思って曲を書いて歌ったら、「私も同じ経験をしました。あいちゃん私のこと見えてんのかな?と思った」っていう手紙をいただいて。みんなも同じやったんや、よかったって思いながら今もずっとやってる感じです。
良原:ご自身の実体験を書かれてるっていうのは変わらずですか?
aiko:変わらないですね。全部が本当じゃなくても、0から1の曲を作るっていうきっかけになったことは全部絶対本当のことで、その後に私はこう思って、こう感じたっていうのは自分の気持ちだったりします。
あと例えばすごい好きな人と喧嘩したら曲の中で、別れるぐらいの勢いになってしまったりとかあるんですけど。本当にいつも感じたことを曲にしていくっていうのが楽しいのと。
あと最初から自分の空想の中で曲を書くと、その気持ちが途中で折れてまうんですよね。本当に起こったことじゃないと多分形にできないというか。空想の中から曲を書くっていうのがまだちょっと苦手なんです。
それもやってみたいですし、そういうふうに色んな曲を書ける人にはなりたいと思うんですけど、今はまだ自分の中で起こったことを曲にするのが楽しいです。
良原:思い出す範囲は、もう学生時代から今までのずっと全部を含めて書かれてるんですか?
aiko:そうですね。だいたい今のことが多いんですけど、でも言葉とか、こういうことしたなっていうのは、やっぱり昔のことを思い出しますね。
良原:記憶力が良いんですか?
aiko:記憶力は悪いんですけど(笑) 写真みたいになって細かいことだけ覚えているんですよ。だからその人がどんな話しをしたのかは全部覚えていないんですけど、「着てた服があの服やったな」とかはイメージで覚えてます。だから、そういうのが情景で何か頭の中に入っているので、それが歌詞になることがよくあります。
良原:歌詞の中に髪の毛とか体のパーツが入ってることが多いなという印象を受けます。
aiko:そういう細かいとこを見るのが好きなんです。1人覗きしているみたいな感じなんですよね。みんなでわいわい喋っている時に、みんながその人の顔を見てる最中に、手がどうやって動いているんやろとか。実はすごい背筋が伸びているんだなとか。スタッフの方とかどうやって歩いてんのかな、かかとのこっちがなんでこんなにすり減ってんのやろ?とか。そういうのを全部見るのが好きなんです。そして、それが歌詞になっています。
■aikoさんが描く“未来”とは…
良原:aikoさんは今後どうなっていきたいというのは何かありますか?
aiko:今後はもうこのまま楽しく、気づいたらボンって煙が出ておばあちゃんになってたら良いなって思います。それぐらいずっと歌い続けたいです。楽しく面白くライブとかで冗談言って、来てくれた皆さんがお祭りに来たみたいな。帰りに「ちょっと寂しいね、もう帰んの?」っていうような。いつでも色んな年代に戻れるような、そういうライブをして楽しく歌っていきたいです。