ロシア軍が占拠していたチョルノービリ、チェルノブイリ原発をJNNが単独取材。取材から見えてきたのは、放射線量が高いエリアでロシア軍が行った、無謀とも言える行為でした。

■占拠されていたチョルノービリ原発へ

須賀川拓記者
「橋が崩壊してます。ロシア軍の侵攻を妨げるためウクライナ側がどこかのタイミングで破壊した物と思われます」

JNNのカメラが向かったのは1か月余りロシア軍によって占拠されていたチョルノービリ原発。須賀川記者
「轍がある通りは安全が確保されているが周りの木が生い茂っているエリアはロシア軍が地雷をまいたブービートラップがある可能性があるので絶対に入るなと」

原発に近づくと、観光ツアーの看板が・・・。
ロシアの侵攻前は、観光スポットになっていたチョルノービリ。

須賀川記者
「チェルノブイリアイスクリームなどお土産屋さんとかもこの辺りいっぱいあったのですね。この辺りも銃撃の跡は残っているのです」

土産物店の中にも、銃が打ち込まれた形跡が残っていました。

■「汚染物質をまき散らさないでくれ」

須賀川記者
「見えてきたのは、事故を起こしたチェルノブイリ原発です」

ロシア軍の攻撃で、一時的に電源の供給が止まるなどしましたが、ロシア軍が撤退し、今では通常の運転に戻っています。一方、制限区域内では、ある深刻な事態が起きています。
本来、放射能汚染の心配のない建物に、こんな看板が・・・須賀川記者
「放射性物質に気をつけろと書いてある。ロシア軍が制限区域内をめちゃくちゃに行き来していることによって、放射性物質を持ち込んでいる可能性があるから気をつけろという事なのですけれども」

原発の関連施設で働くスキルタさんは、ロシア軍が汚染物質をばらまいたといいます。

スキルタさん
「頼むから装甲車のキャタピラで汚染物質をまき散らさないでくれと思っていた。赤い森という場所があるのだ。それ以外にも彼らが知らない汚染されている場所はある。そんなところを軍用車両で走り回って塹壕まで掘っていると聞いてとても心配した」“赤い森”と呼ばれる汚染エリア。取材クルーが特別な許可を得て通過すると・・・

須賀川記者
「赤い森は完全に立入禁止になっていて、線量もかなり高い場所といわれている。今4マイクロシーベルトになりました」

その赤い森で、ロシア軍撤退後に撮影された映像にはいたるところに穴が・・・
汚染された土地が掘り起こされ塹壕が掘られていたのです。ウクライナメディアによりますと、適切な知識がない指導部に送り込まれたロシア兵は、“赤い森”に塹壕を掘り大量被ばくした可能性があるということで“複数の人に重度の放射線障害が出たとの報告”もあがっているということです。