■「プーチンという人は完全に消えてほしい」マリウポリから避難の女性 夫は今も製鉄所にー
プーチン大統領の演説に憤りを感じている女性がいます。
アナスタシアさん:
プーチンという人は、完全に消えてほしいです。
マリウポリからキーウ近郊に避難しているアナスタシアさん(25)です。
ーープーチン大統領の演説をどんな思いで聞かれましたか?
アナスタシアさん:
プーチンは真実を偽っています。私にとっても5月9日は大事なお祭りでした。私たちは戦争でつらい目にあったひいじいさんや、ひいばあさんから話を聞いて、戦争はどれだけ辛いものかということを覚えています。どうして私たちの世代も同じような経験をしないといけないのですか。こんなに悪意を持って悲惨なことをもたらす人間の心はどうなっているのでしょう
マリウポリでは今も戦闘が続いています。市民の避難が完了したとされる製鉄所では、黒煙が上がるなど、攻撃が再開されています。
アナスタシアさんの夫は、国家親衛隊の兵士で、今も製鉄所の中で戦っています。毎日ショートメールで無事を確認しているといいます。

アナスタシアさん:
彼ら(製鉄所の兵士)には食料品がなく、水も尽きようとしています。自分たちで作った軍の病院では、医療品どころか水すらありません。傷を洗う水もないし、傷を縫うこともできません。鎮痛剤は3週間前になくなりました。兵士はひどい痛みに苦しみながら死んでいます」
今、アナスタシアさんの手元には、夫との写真はほとんどありません。避難する時、ロシア軍の検問で、夫がウクライナ兵士と分からないように消去したからです。
ーー大事な思い出の写真の数々を失ってしまったということについては、どんな気持ちですか。

アナスタシアさん:
非常につらいし、残念です。しかし、最近私は過去を思い出すのをやめました。私の町は破壊され、昔の人生も破壊されました。そこに戻る可能性はもうないし、これからもないと思います。もう、全く意味がありません。
製鉄所ではウクライナのアゾフ連隊幹部がこう話しています。

アゾフ連隊の副司令官
「私たちは生きている限り、正義のためにずっと戦います」
アゾフ連隊の中尉
「ロシアは私たちの命に興味がないので、降伏という選択肢はあまりありません」
ーー戦争の中で旦那さんは、命を懸けて戦っていらっしゃる。そのことについて、改めて今どんな気持ちですか。
アナスタシアさん:
もちろん彼のことをとても誇りに感じているけど、とても心配です。毎日(無事を)信じながら生きています。何か奇跡が起こって彼らが製鉄所から出ることができるように信じています。