シリーズSDGs「地球を笑顔にするウィーク」です。防災意識が高くなくても、日常と災害時を切り離さずに暮らすことで災害から命を守る。そんな新しい考え方が広がり始めています。

突然襲ってくる災害。準備は万全ですか?

「(防災用品は)置いとく場所も必要だし、使わないまま賞味期限とか過ぎてしまいそうで管理がちょっと面倒くさい」

いざという時のために、常に備え続けることは簡単ではありません。そこに着目した商品があります。

東急ハンズ広報室 高野真季さん
「一見クッションに見えるのですが、開くと寝袋になる商品です」

この店には他にも、非常時を想定してモバイルバッテリーに懐中電灯の機能を持たせたものや、濡れている紙にも文字がしっかり書けるボールペンなどを扱っています。

東急ハンズ広報室 高野真季さん
「『これ普段にも使えるから買おう』というお声も(客から)たくさんいただいている。自然にフェーズフリーな商品が増えている」

普段使えるものが、もしもの時にも使える。「平常時」と「災害時」を分けず、間にある垣根を取り払う「フェーズフリー」という新しい考え方が広がりつつあります。

こちらもフェーズフリーの考えを取り入れたふろしき。黄色と黒のデザインが印象的ですが、一番の特徴は撥水性の高さです。

株式会社アイクリエイト代表取締役 粟田あやさん
「しみこまなくてですね、こうすると弾くんです」

このふろしきを企画した粟田さんは、東日本大震災を経験して、アイデアを思い付いたといいます。

株式会社アイクリエイト代表取締役 粟田あやさん
「道路にみんなペタンと座っていて、身動き取れない人たちが屋根がないところにも人が溢れかえっている状態で」

首都圏では、大勢の帰宅困難者がでました。粟田さんもその1人でした。

株式会社アイクリエイト代表取締役 粟田あやさん
「あの日雨は降ってなかったけど、 じゃあ雨が降っていたらどうなっていたんだろう。そんなときに1枚でもこういう布があって、雨だけでもしのげたらちょっと気持ち的にも違うのかな。日常生活で使えて、かつ災害時でも使えるものが何なのかなっていうところで、今回ふろしきにたどり着いた」

「フェーズフリー」の対象はモノだけではありません。家族連れなどで賑わうこちらの公園は、災害発生時には人々を守る拠点になります。

豊島区都市整備部公園緑地課長 片山裕貴さん
「豊島区では最大の防災機能を持った公園。一時的な避難場所として、大勢の方々をお迎えすることも可能」

最大2500人を収容できる広い芝生を備えているほか、木造住宅が密集する方角には燃えにくいシラカシの木が立ち並び、避難した人の命を火災から守ります。公園の中心部はけがをした人や物資を運ぶためのヘリポートにも変身します。

豊島区民
「行き慣れてるところなので、何かあったときもそこに行けばいいんだなっていうのがあるのはいいかな」

豊島区都市整備部公園緑地課長 片山裕貴さん
「普段身近に感じていただいている公園を、いざ災害が起きたときには、安心して滞在できる場所として、頭の片隅に置いておいていただければ」

専門家は防災を特別視しない、敷居の低さに注目します。

防災やフェーズフリーに詳しい 山梨大学 秦康範 准教授
「フェーズフリーは誰もがそれぞれの立場で参加できる。フェーズフリーの考え方でデザインされたモノやサービスが社会に広く普及していけば、自然に災害に対して強い社会になる」

備えない防災とも言われる「フェーズフリー」災害の多い日本でどこまで浸透するでしょうか?