近年、新型コロナの影響で大打撃をうけた伊豆の観光業。ようやくコロナ禍から抜け出そうとしていますが、人手不足という新たな問題が立ちはだかっています。客はいるのに受け入れられない。現場の苦悩は尽きません。
3月12日のJR熱海駅前です。相変わらず、多くの観光客でにぎわっていました。
<商店街の人>
「おかげさまで土日はすごい人です。平日も結構人出てますし、肩がぶつかるぐらいすごい人出です」
熱海市の2022年1年間の宿泊客数は約230万人。過去最低だった2021年の153万人に比べ、約1.5倍となり回復傾向にあります。しかし、コロナ感染拡大前の2019年までは300万人を超えていて、それに比べると7割ほどにとどまっています。そこには、深刻な理由がありました。
<熱海市 斉藤栄市長>
「要因の一つとして宿泊施設の人手不足、人材が確保できないという人手不足による稼働率の低下があると聞いている」
いま、宿泊施設が抱えている悩みは、従業員の人手不足。客はいるのに受け入れられないという複雑な悩みを抱えているのです。
熱海市の隣、伊東市でも深刻な状況は変わりません。このホテルには、全部で120の客室がありますが、有効に使えていないと話します。
<ホテル暖香園若女将 北岡侑子さん>
「1泊2食で120室満室にするっていうのは、結構1年の間でもあったけど、従業員もコロナの間で減ったりして、人材不足の状態なんですね」
伊東市も宿泊客の数は増えつつあります。2022年1年間の宿泊客数は約231万人と、2021年に比べ1.4倍となりました。
<ホテル暖香園若女将 北岡侑子さん>
「お客さんが増えてきたというのは、肌で皆さん感じて数字にも出てるんですけど、かといって対応ができないんで」
このホテルの従業員数は、正社員とパートを含めて約60人。コロナ感染を心配した外国人従業員が親元に戻ったり、高齢の従業員が退職したりするなど、ここ数年で1割ほど減りました。
何とかしなければいけない。このホテルが舵を切ったのは業務の効率化です。3か所ある食事の会場を調理場が同じフロアにある2か所に絞りました。スタッフが準備や片付けで階段を上り下りする手間を省くためです。さらに。
<ホテル暖香園若女将 北岡侑子さん>
「全国旅行支援が去年はやってたんですけど、今年は3月までっていうのは参画してないんですね」
このホテルでは、2023年1月から再開した全国旅行支援には参加しませんでした。本来なら客を引き付けるために魅力的なキャンペーンですが、ワクチン接種の回数の確認など、余計な手間が増えるのを回避することを優先したのです。その代わりに館内で使える1,000円分のチケットを渡すことにしました。
<宿泊客>
「一人に1枚くださったので助かります。うれしいです」
人手不足を解決する有効な手は見つかっておらず、売り上げは4割も減少しました。せっかくのチャンスをふいにしかねない状況ですが、客の興味を引き付けるための努力を続けたいと若女将は話します。
<ホテル暖香園若女将 北岡侑子さん>
「自分たちが伊東温泉のカラーを出しつつ、どういう風に今後営業できるかなっていうのは今後の課題ですね」
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