■安全の議論は尽くされた? 原発運転延長

小川キャスター:
様々な疑問がある中から周辺住民の皆さまからは、特に原発の運転期間の延長について疑問の声が聞かれました。

萩原豊 解説・専門記者室長:
60年を超えて、老朽化する原発をどうするかは非常に重要な問題です。
ところが、本当に議論が尽くされたのかという疑問が出てるんです。議論を行ったのは原子力規制委員会です。院長を含めて5人の委員がいます。その中の1人、石渡明委員が反対をしました。

山本キャスター:
石渡委員は反対の理由として「科学的・技術的新知見に基づくものではない」と話しています。これはどういうことでしょうか?

萩原豊 解説・専門記者室長:
運転期間が60年を超えても安全だという新しい知見が出てきたから今回変更しよう、というものではないと。安全性の向上につながらない、と反対したわけなんです。

ところが、最終的には4人の賛成をもって、異例の多数決で了承したということになりました。

小川キャスター:
石渡委員のご意見が納得感があるものなだけに、なんでもっと時間をかけて議論して、全員が納得する形にできなかったんだろうと感じてしまいました。

萩原豊 解説・専門記者室長:
その背景が、委員の言葉からわかります。

原子力規制委員会 杉山智之委員(2月13日)「外から定められた締切を守らなきゃいけないという感じで、せかされて議論をしてきました」

原子力規制委員会 山中伸介委員長(2月13日)「法案提出という最後のデッドラインというのは、決められた締切でございますので、やむを得なかったところはあるかなと」

安全の議論に“締め切り”?

萩原豊 解説・専門記者室長:
“せかされた”あるいは“デッドライン”という言葉から、規制委員会が今国会に法案を提出したい政府側と歩調を合わせたのではないかという見方が出ています。もし、安全よりも日程を優先したのであれば、非常に問題だと思うんです。

小川キャスター:
大切な原発に関する議論が、日程ありき、もっと言うと結論ありきになっているようにも感じてしまうんですけれども…

竹山さん:
結局、そこだろうということだと思うんですよ。そういうことを何回も繰り返して信用がなくなってるから、反対の人はずっと反対のままいくし、賛成の人は勝手にやってるような気もするしという。これってそういう問題じゃないでしょ、いつまでそのやり方やってんのよという。

1回しくじっているわけですから。1回失敗してるわけだから、信用を取り戻さなければいけないのに、前と同じようにずっとやっていく。だから、ずっと議論がわかれたままになっちゃうっていう。これをやってしまうと、結局一歩も進まないと思うんですよね。

萩原豊 解説・専門記者室長:
こうした状況について、元原子力委員会委員長代理・長崎大学の鈴木達治郎教授に話を聞きました。

「寿命延長については議論が足りない」
「原子力規制委員会は、独立しているのか疑念を持たざるを得ない」

という厳しい指摘をしています。