小川キャスター:
様々な背景がある中での、方針転換はどう感じますか?

竹山さん:
見えないところがまだいろいろあって、元々エネルギー問題とか原発のことって、僕も含めて、わからないことが難しすぎていっぱいあるじゃないですか。普段から興味持ってたわけでもないから。だから、それを僕らでもわかるレベルで1個1個説明してくれると本当に助かるんだけど、わからないまま、どんどん先にいっちゃってるような気がして。

結局気づいたら、こうなったんだ、みたいな感じだから、もっとわかりやすく説明してほしいというのは常に思ってます。

小川キャスター:
政府の説明を言葉通り受け止めると、電気代も高くなっているし、ウクライナ侵攻もあってエネルギー問題も大変だし…と、原発を活用することは、仕方ないことなのかなと受けとめる方もいらっしゃると思いますが、実際はどうなんでしょうか?

萩原豊 解説・専門記者室長:
脱炭素社会、あるいは電力の安定供給は、非常に重要な課題です。ただ、原発の建て替えや運転の延長というのは、実際に行われるのは10年先の話です。少なくとも目の前の電気代とは直接は関係ないので、ここは冷静に議論したいところです。

小川キャスター:
こうした中で、原発の周辺に住む人たちは原発政策の転換をどう捉えているのでしょうか?

原発のある町で暮らす… 消えない不安

宮城県女川町と石巻市にまたがる東北電力・女川原子力発電所。2024年2月の再稼働を目指し、安全対策工事が進められています。

石巻市内に住む本間さん。

石巻市かどのわき町内会 本間英一さん「女川原発と直線距離だと18キロしかないんです」

このあたりは、原発事故が起きた場合、坂の上の高校に集まり、バスなどでの避難することが想定されています。しかし…

本間さん「この辺りは高齢者がたくさん住んでいて(避難するには)坂を上らないといけないんですけど、歩けない人がたくさんいるんですよ。現実的な避難計画ではないと思いますね」

東日本大震災では、津波や火災で甚大な被害を受けたこの地区。今は防潮堤が整備されていますが、再び巨大地震が起きれば、津波は防潮堤を超える恐れがあるとの想定も示されています。

本間さん「津波が来たら道路もみんなダメになっちゃうので」

そんな状況でもし、原発事故が起きたら…地元の不安が解消されないまま進んでいく「原発推進」の議論には疑問を感じています。

本間さん「(運転期間を)60年に延長するのも説明が足りないし、停止期間は除くという話もありますが、劣化は進むわけですから。自分たちで元々決めたことをどんどん変えていくというのは、おかしいと思いますね」

一方、女川原発のある牡鹿半島で飲食店を営む齋藤さんは…

石巻市で飲食店経営 齋藤富嗣さん「電気代、油、全て値上がりして、我々みたいな商売をしている小さな港町では、なかなか値段を上げることもできない、本当にどうしたものかなと…」

店で使う家電のほか、兼業する「わかめの養殖」で使う大きな保冷庫など、年間の電気代は12万円以上、上がったと言います。  

齋藤さん「再稼働について賛成か反対かと言われると非常に悩ましい所もあるんです。ただ生活は今、どんどん厳しい状況になってきていますし、世界でも一番厳しい適正審査に合格してのことなので、そこはなんとか信じて稼働していただいて…」

電気代の値下げにつながるなら…と再稼働に理解を示す齋藤さん。ただ、「運転期間を延長する方針」には同意できないと話します。

齋藤さん「東日本大震災は津波という外からの影響で悲惨な事故がおきてしまった。今度は機械が老朽化したことによって、どんな影響がでてくるのかわからないわけですよね。やはり当初の40年というのを一つの区切りとして、そこに向けて次の取り組みをしていく。60年前の機械ですから、そこは一概に言われても納得できない」

小川キャスター:
原発周辺にお住まいの方々の声を聴いて、どう感じましたか?

竹山さん:
地域住民の方の意見が一番大切だと思いますが、(原発を)停めている間、老朽化するか、しないかを細かくわかりやすく説明してくれないと、40年が60年になって、技術的に科学的に本当に大丈夫ならば大丈夫で、説明を受けたらわかるじゃないですか。そこがいつもモヤっとしているから、信用できないというところもあります。

小川キャスター:
説明しようとしているのか、周辺住民の皆さんの声を吸い上げようとしているのか、そこも見えないところがありますよね。

竹山さん:
いつもこういう問題って、ホームページを見てくださいとか、資料がありますっていうけど、正直に言うと見てる人そんなにいないです。見たところでわかりにくい。本当にこういうことが起こったから、もっともっとわかりやすくいろんな努力をしてもらって、皆さんに伝わるような説明をしていただきたいです。