バレンタインデーのように気楽に参加を!
このような「ピンクシャツデー」のイベントはさまざまですが、何よりも大事なのは「個人個人がいじめ反対の意思表示をすることだ」と話すのは日本ピンクシャツデーの代表・高梨京子さんです。

日本ピンクシャツデー代表 高梨京子さん
「皆さん、団体を作ってピンクシャツデーをやろうと思うと『具体的にどういうことをしたらいいかわからない』とおっしゃる人が多くて、でもそもそも目的はいじめがなくなる世の中を目指すことだから、イベントをするために運動があるわけじゃないので『必ずしもイベントをやらなきゃいけないわけではないですよ』とお伝えしています。だから気軽に出来ることから、着ていくだけでもいいしピンクの物を身に着けて一日過ごすだけでも全然いいんです。みんなが思い思いに気楽に参加していただける『バレンタインデー』みたいに根付いてほしいと思います」
「日本もいじめのニュース多いじゃないですか。どうしてもいじめというとネガティブなイメージで、関係ない人は自分には一切関係ないと思ってしまいがちじゃないですか。でも社会全体でちゃんと向き合っていかないと、たぶん無くならない問題だと思っていて、だからひとりひとりが意識を向けることで全然違った世の中になるんじゃないかと思います。いじめとか差別・偏見のない社会にするためにも、ピンクシャツデーの運動を使ってもらえればいいなと思ってますね」
加害者を生み出さない世の中に
最後に、いじめの当事者ご家族はどう考えているのでしょうか。子どものいじめ問題などを調べる「ここから未来」という団体で、遺族の一人として講演活動などをされている篠原宏明さん。2010年に当時中学生だった息子さんをいじめで亡くしています。

「ここから未来」 篠原宏明さん
「講演では子どもにもわかりやすいように『いじめって何だろう』というところからスタートして、『自分の言ってることやってることが、ひょっとしたらいじめにつながってるんじゃないか』とか、『自分は遊びのつもりでも、それがいじめに取って代わっているのではないか』とか、そういった危険性を話しています」
「ただ、我々がどれだけ声を上げても本当に力及ばずのところがありまして、いじめというものが完全になくなるということは難しいんだろうと思いますけれども、いじめというのは人間が作ったものであるんだから、人間がなくせないはずはないという思いがあります。いじめをなくす一番簡単な方法というのは、いじめてる側を作らないことなんですね。被害者側がどんだけ変わろうとしても加害者側がいじめをやめない限りはいじめはなくならない。であれば加害者を生み出さないという世の中に変わっていければ、我々の目標であるいじめをなくすことができるんではないかと。そういう思いを我々大人が持たないと、子どもたちはいじめがずっとなくならないじゃないかと絶望的な概念から抜け出すことができない。我々大人があきらめてはいけない」

どうしても日本は、ちょっと飛び抜けた変わったことをした子とか、ちょっと変な子を阻害する傾向がありますよね。「みんなが同じでなきゃおもしろくない」とか、「みんなが一緒じゃなきゃいけない」とか、多様性を認めないところがありますので、ピンクシャツデーというのは多様性について考えるテーマの一つとしてわかりやすいのではないでしょうか。
(TBSラジオ「人権TODAY」担当:進藤誠人)