新潟県が三条市に整備している『県央基幹病院』は来年=2024年3月1日の開院に向けて準備が進められています。県央基幹病院に期待されていることの一つが『救急患者の受け入れの充実』です。燕市の病院で始まっている新たな救急医療プロジェクトに密着し、受け入れ態勢の成果と課題を取材しました。

『県央基幹病院』開院まで1年 県央地域の現状は…

燕市にある燕労災病院です。彼らが行っているのは、『ER(イーアール)救急』。ERとは『エマージェンシールーム』の略で、通称「断らない救急」です。

【渡邉紀博医師】「ぜひ新潟にER救急という文化をつくりたいと」

【新田正和医師】「県央地域の医療を良くすることが、新潟県全体の医療も良くする」

JR燕三条駅近くで建設工事が進められている『県央基幹病院』。総事業費375億円をかけ、県央地域に基幹病院を建てるのは、これまで県央の医療が抱えてきた深刻な現状を改善するためです。

県央地域は、新潟県の中央部に位置する三条市、燕市、加茂市、田上町、弥彦村の5つの市町村の総称で、県のまとめによりますと、2018年に、この県央地域で行った救急搬送8567件のうち、4分の1にあたる2214件が地域内で診ることができずに『地域外の病院に搬送』されていました。地域外搬送の割合で見ますと魚沼地域が6.7%、下越地域が4.7%と県内の各地域の中で突出して多い数字です。

さらに、搬送にかかった時間の平均は、県央地域のひとつ『燕弥彦地域』で47.1分と、県内平均よりも11.6分長くなっているのです。
吉田消防署 救急係 町田宗生主任

【吉田消防署 救急係 町田宗生 主任】「傷病者の方、家族の方に申し訳ないなという気持ち。救急隊としても、病院が決まらない中での活動というのは、“ゴールが見えない中での活動”になるので、隊員にあってはすごいストレスというような状態」