◆初期のクラスター発生で風評被害を受けた病院

福岡市早良区の福岡記念病院は3年前の4月、患者と職員合わせて35人の感染が確認され、一般外来に加え、救急外来も手術も一時すべて休止する事態に。さらに病院名が報道されたことで、多くの風評被害を受けました。
病院内で上野院長「患者はご高齢の方が中心で、1人の患者に2人の看護師が付き添って介助をしています」
外来診療の再開に向け、上野院長は感染者を一つの病棟にまとめてゾーニングを行い、病室の常時換気などの感染対策を徹底、伝えるべき情報は極力公表しました。
福岡記念病院 上野高史院長「どこの施設も、院内の患者の状況を見せることはしていなかったと思うんですが、我々は思い切って『こういう状況ですよ』と出して知っていただこうと」
これにより風評被害は次第に減り、全国から多くの支援物資や励ましのメッセージが届くようになったと言います。
◆「5類」に移行しても少なくない負担

あれから3年、政府は大型連休明けの5月8日から新型コロナの感染法上の位置づけを、現在の2類相当からインフルエンザと同じ5類に移行する方針です。これにより原則、一般の医療機関でも入院の受け入れや診察ができるようになりますが、感染対策の設備費用など負担は少なくありません。

福岡記念病院 上野高史院長「“ゼロコロナ”は当分ないでしょうね、 “ウィズコロナ”として、一般的な感染予防・対策しかできないと思う。特別な設備が要ると言われるなら、多くの病院は対応できませんから」
福岡県で新型コロナの陽性者が初めて確認されてから丸3年。経済や社会活動はコロナ禍前の状況に少しずつ戻り始めていますが、苦しい状況に逆戻りしないよう、1人1人の自覚と責任ある行動はこれからも必要です。