中国は、アメリカが撃墜した気球について「民間のものだ」と主張している。もともと国際民間航空条約、通称・シカゴ条約には「民間航空機に対して武器の使用に訴えることを差し控えなければならず」と規定されている。防衛省によると、この規定に無人機が含まれるのか現時点では明確な解釈があると承知していないとしていて、「民間」の無人気球に対して実際に武器を使用することができるのかは不明瞭だ。

また、武器使用による「地上の国民の生命及び財産の保護」などが具体的にどういう状況を示すのかも不透明だ。浜田防衛大臣は2月17日の会見で「いかなる場合に武器の使用が可能かは、個別具体的な状況によることから一概にお答えすることは困難だ」と明確な答弁を避けている。

「気球」の危険性は未知数…対処に向けた技術向上やルール明確化を

中国は一体どういう目的で無人気球を飛ばしているのか。偵察による情報収集のみならず、もしかすると化学兵器や生物兵器を搭載することができるのかもしれない。気球の危険性は未知数だ。 

井筒航空幕僚長は2月16日の会見で「航空自衛隊の戦闘機から空対空ミサイルを発射する等の手段によって気球の破壊については可能だと考えている」と強調した。その一方で専門家や自衛隊関係者からは「日本は、技術的にも、戦闘機や武器の性能的にも、法的にも、気球を撃墜するのは難しい」と懸念の声があがっている。

今後、自衛隊が実際に外国の気球に対処するには、更なる技術の向上や武器使用のルールの明確化が求められる。

TBSテレビ政治部 防衛省担当
岩本瑞貴