「カシミヤはファッションのごちそう」

 東京都港区、南青山にあるユーティーオーのショールーム。ここでは製品を手に取り、風合いを確かめながら、着丈や袖丈など自分好みのサイズを、25色からカスタムオーダーできます。
 セーターの価格はレディースで5万5000円からと決して安くはありませんが、宇土代表はカシミヤの人気は幅広いといいます。

(ユーティーオー 宇土寿和 代表)
「やっぱり気持ちよさですよ。僕はいつも言うんですけど、カシミヤはファッションのごちそうです」

 今からおよそ50年前当時、旅行代理店に勤務していた宇土代表は、ニット業界の旅行客向けにヨーロッパを巡るファッションツアーなどニッチな企画を次々と生み出しました。

 その後ニットメーカーに転職し、カシミヤの虜に。宇土代表は独立することを決断します。

(宇土寿和 代表)
「やっぱりちっちゃいところでも突き詰めていけば人様に負けないようなことがなんかできるんじゃないのかなっていうのは、昔からあります。もう狭くとにかく尖っていく」

 今では全国各地から注文が相次ぎ、去年の売り上げは1億9500万円と過去最高でした。しかし宇土代表はこれまでを次のように振り返ります。

(宇土寿和 代表)
「苦労の連続20年でしたね。リンキングっていう工程の職人さんがいなくて、結局赤字続きで撤退せざるを得ないということで」

 パーツとパーツを一目一目、手作業で縫い合わせる「リンキング」が出来る職人の高齢化と、売り上げの低迷により当時の山梨工場は閉鎖することに。2011年には廃業寸前まで追い詰められたのです。