プーチン氏の二面性「西側は見えていない」

ナポレオンやナチスは現在のロシアの領土に攻めて来たのだが、現在ウクライナはロシアを侵略したことはない。西側もそうだ。しかしプーチン氏の頭の中ではその時代と今が結びついているのか…。果たしてプーチン氏とはどういう人物なのかをドゥーギン氏はこう分析している。

ドゥーギン氏「プーチンは二面性を持つ政治家であり、正反対のパラダイム(規範)に基づいています。特別軍事作戦を開始し、それに向けて準備を行い、多極世界を守る必要を理解しているのは「太陽のプーチン」です。しかしもう一つのプーチンも存在します。私が「月(陰)のプーチン」と呼んでいるプーチンです。愛国者である私にとってこの(太陽の)プーチンは親しい存在であり、精神的に近い存在でもあります。」

ドゥーギン氏によれば「太陽のプーチン」は愛国者で、一極の世界を作ろうとする西側と徹底対決を辞さないプーチン氏。もう一つの「月のプーチン」は経済を優先させていたプーチンだと言います。

「オリガルヒに頼るプーチン、欧米の価値を認める、というより、特別軍事作戦開始前に認めていたプーチン、ロシアは欧米社会、欧米の文明の一部であるという論文を書いたプーチン、経済は命(ほど重要)なので貿易はすべての問題を解決してくれるものだと思っているプーチンです」

そしてドゥーギン氏はプーチン氏の中に今も「月のプーチン」がいると指摘しました。

「残念ながら特別軍事作戦が行われている今でも(「月のプーチン」は)存在しています。「月のプーチン」は国内の人には見えています。私たちに彼の内面が見えます。彼の迷い、優柔不断、十分でない社会の動員、矛盾した行動や人事が私たちに見えています。」

しかし、西側にはこの月のプーチンが見えていないといいます。

「欧米には「太陽のプーチン」しか見えず、欧米はこの太陽のプーチンのことを嫌っています。「月のプーチン」が(和平)交渉を始めたいと思っても、相手は交渉を否定しているので交渉は非現実的です。この1年間は「太陽のプーチン」の構造の中で行われていました。」

こうしたプーチンのシグナルに目を向けず、行われた欧米からのロシアへの経済制裁やウクライナへの武器供与がプーチン氏を頑なにし、愛国的になるプーチンに対し国民が結束したと言うのだ。

「プーチンは我々のリーダーであり、「太陽のプーチン」として認識されます。その意味でロシアの社会の中にいかなる疑問や分断はありません。」

【インタビュー全文はこちら】“プーチンの頭脳”極右思想家ドゥーギン氏初めて語る~「特別軍事作戦は失望からロシアの聖なる戦争になった」

((BS-TBS 『報道1930』 2月10放送より)