佐藤をはじめMGC出場権を持つ選手が8人エントリー
優勝候補は林田だけではない。林田をはじめ、前回6位の今井崇人(26・旭化成)、同11位の佐藤悠基、同12位の難波天(23・トーエネック)の招待選手4人は、1時間00分台の記録を持ち、誰が勝ってもおかしくない。
特に注目したいのは36歳の佐藤だ。20代にはトラックで大活躍し、12年ロンドン五輪と11年&13年世界陸上に出場。ニューイヤー駅伝でもスピード区間の3区と、最長区間の4区で何度も区間賞を獲得した。
マラソンの距離が壁となったが、前回大会で1時間00分46秒の自己新をマーク。4週間後の東京マラソンでは2時間08分17秒の自己新で走り、MGC出場資格も獲得した。42.195kmの距離も、じっくり時間をかけて手の内にしようとしている。
元旦のニューイヤー駅伝は1区で区間10位。区間1位選手と5秒差でタスキをつなぎ、チーム過去最高順位の6位入賞に貢献した。チームスタッフによれば駅伝以降も状態を上げ、自己記録更新も期待できるという。
佐藤以外にも古賀淳紫(26・安川電機)、湯澤舜(26・SGホールディングス)、橋本崚(29・GMOインターネットグループ)、青木優(32・Kao)、赤﨑暁(25・九電工)、松本稜(32・トヨタ自動車)、山本翔馬(27・NTT西日本)らMGC出場権獲得選手がエントリーした。中でも古賀は、20年の今大会で日本人トップの2位、21年大会では日本人2位の4位と、ハーフマラソンで強さを見せている。MGC選手たちがスピードと持久力を生かし、ロングスパートで勝負に出るかもしれない。
10000m27分台のスピードランナーも多数
トラックのスピードランナーたちも多数出場する。世界陸上代表経験選手としては佐藤のほか、3000m障害で17年ロンドン大会代表だった潰滝大記(29・富士通)と、21年東京五輪、22年世界陸上オレゴンに出場した山口浩勢(31・愛三工業)がエントリーしている。特に潰滝は駅伝でも活躍しているだけに、ハーフマラソンでも優勝争いに加わってくる可能性はある。
それ以上に可能性があるのは、10000mを27分30~40秒台で走っている選手たちだ。佐藤、茂木、大六野、難波、潰滝が該当する。27分50秒台まで広げると今江、田中秀幸(32・トヨタ自動車)、古賀、大池達也(32・トヨタ紡織)、太田直希(23・ヤクルト)、森山真伍(24・YKK)ら全員の名前を挙げきれない。
特に注目したいのが、千葉大大学院ルーキーの今江だ。東日本実業団駅伝3区区間7位(区間1位と8秒差)、八王子ロングディスタンス10000mで27分50秒93の自己新、ニューイヤー駅伝5区区間3位、全国都道府県対抗男子駅伝3区区間2位と、高いレベルで安定した戦績を残している。
今大会では「順位にこだわりたい」と亀鷹律良監督は言う。「全国都道府県対抗男子駅伝では1秒差で区間2位でしたから、やはり“1番じゃないとダメだよね”と話し合いました。今回は順位にこだわります。タイムは自ずとついて来るでしょう」と期待を込めた。潜在能力の高さを感じさせる今江が、実業団入り後初のハーフマラソンでどんな走りを見せるか。是非とも注目してほしい。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)
※写真:林田洋翔(左)、佐藤悠基(右)