壁に塗るだけで震度7にも耐えられる
では、既に建てられた組積造を強化する方法はないのか。調べてみると、実は日本の企業が、ある画期的な技術を開発していました。
ーー組積造の建物を強化する技術を開発されたそうですね?
株式会社Aster代表取締役 鈴木正臣さん
「組積造は非常に地震に弱いんですけど、塗るだけで耐震性を上げる技術を開発しました。塗料なので色は何色でも作れるんですけど、クリームチーズみたいに結構ドロッとしてるものです。アクリル樹脂というものと、特殊な繊維を混ぜて使ってるんですけど、ローラーとかコテみたいなもので塗りつけるみたいな感じで、普通に塗装してるのと何も変わらないですね」
ーーそれだけで耐震性が上がるんですか?
株式会社Aster代表取締役 鈴木正臣さん
「組積造がとにかく弱いのは、ちょっとずれたらガラガラって崩れ去ってしまうっていうところなので、横にガラガラガラガラって崩れないようにサポートするっていうのが役目です。例えば震度7に2回に耐えますみたいなことっていうのは、もう十分、現実的にできるのです」

ーーもう少し具体的に教えて下さい。
株式会社Aster代表取締役 鈴木正臣さん
「レンガとレンガをモルタルで重ねただけの組積造は、柔軟性がなく簡単に崩れてしまいますが、このガラス繊維を混ぜ込んだ特殊な塗料を、厚さ1ミリほど、壁面に塗って乾かすと、レンガ一個一個が一枚の大きな板になったイメージで変形に強くなります。それで、震度7にも耐えられるようになります」
ーーコストが高そうですが?
株式会社Aster代表取締役 鈴木正臣さん
「1平米あたり300~500円、一軒家だと、平均3万~5万円。従来の壁の塗り替えと同程度の価格を目指したい思っています。そのため、壁のどの部分をどの程度補強すればよいか検証できる解析技術も開発しています。必要最小限の塗料で済むように、塗る場所や量を割り出して、コストを抑える仕組みです」
ーーなぜ、塗ることに注目したんですか?
株式会社Aster代表取締役 鈴木正臣さん
「『耐震補強してください』と言っても、現地の人は、お金をかけてくれません。むしろ、『普段の壁の塗り替えですよ』とした方が、早く広まることに気づきました」