旧優生保護法のもと、不妊手術を強制されたことは憲法違反だとして、熊本県の男女2人が損害賠償を求めていた裁判で、国は賠償を命じた熊本地方裁判所の判決を不服として控訴しました。
この裁判は、旧優生保護法のもと、不妊手術を強制されたことは憲法違反だとして、県内に住む70代の男女2人が国にあわせて6600万円の損害賠償を求めたものです。
熊本地裁は1月23日、「旧優生保護法は憲法違反」とした上で、損害賠償を請求できる除斥期間(じょせききかん)の適用を認めず、国に2200万円の支払いを命じました。
この判決を不服とした国は、「除斥期間の解釈・適用に関して法律上の重大な問題を含んでいる」として、2月3日、福岡高等裁判所に控訴しました。
原告の渡辺数美(わたなべかずみ)さん(78)は、「控訴は本当に残念。年々体も弱り、ぎりぎりの状態で乗り切ってきましたが、国が判決を受け入れず、裁判を引き延ばそうとしています。私の命がどこまで持つか分かりませんが、国が責任を認めるまで頑張ります」とし、川中ミキさん(70代)(仮名)は、「控訴して欲しくなかった。解決までどれだけ時間がかかるかわからず大変残念」とコメントしています。