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 元厚生労働省キャリア官僚で行政学者である神戸学院大学・現代社会学部の中野雅至教授にも話を聞いた。

 (Q今回の件についてどう見ている?)
 (中野教授)「VTRの中であった不動産評価審議会、あそこがどういう審議をしていたのかですよね。大阪市が全く説明しないで、審議をかけていたのか、ショッピングモールというのは不適切だと多分プロだとわかると思うんですけど、全くそこに対する異議が審議会で出なかったのかと、これまた不思議な感じがしますよね。いずれにしても価格というのはすごく後々影響を及ぼすから、もう少し疑義を持たれないように正面突破した方がいいと思うんですけどね。正面突破できなければ、できない理由をきちんと言った方が、僕はすっきりすると思いますけどね」

 不動産評価審議会の委員の鑑定士5人全員への取材で説明を聞いたところ、3社の数字が一致していることやIRが考慮されていないことに対して、委員からも疑問の声はあがったという。ただ、その点については、大阪市が鑑定業者と話しをして問題ないとされているということであれば、そもそも審議対象でないので、それ以上深く議論することはないという。

 審議会では、IRが考慮されないということは、すでに決まった状態で審議にかけられており、「ショッピングモールであれば12万円という価格は妥当ですか」、というような審議の仕方になっている。不動産評価審議会では、委員の不動産鑑定士たちは、不動産鑑定評価書を見て審議しているわけではなく、諮問調書と呼ばれる要約された情報に基づいて議論が行われている。審議会はあくまで、あたえられた条件の中で、価格が適切かどうかを判断する場所で、全ての情報を見て議論しているわけではないと鑑定士たちは話した。

 IR用地不動産鑑定業者の結果をめぐり、4社に対しては、他の3社がどの鑑定業者か知っていたのか、についても質問した。すると以下のような結果が出た。
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【他の3社がどの鑑定業者か知っていたのか?】
A社:知らない
B社:知るに至った
C社:回答なし
D社:知っていた

 (Qどこが鑑定するか、お互いに知る可能性はある?)
 (田原さん)「ないです。業務上の秘密もありますし、例え知ったとしてもですね、それにとらわれずに自分の考えで鑑定します。原則として知らないですね」

 大阪市側から聞いたのか?という質問に対しては回答はなかった。