「水到渠成」とは?条件さえ整えば…
関係者への取材を進めると、中国側から記者が退出させられた後の非公開の場で、何立峰副首相が経済交流について具体的に言及していたことが判明した。
経済担当の何立峰氏は、「不動産の在庫問題は解消に向かい、最も困難な時期は過ぎた」と述べた。次に、問題視されている国内需要の低迷を念頭に「消費の内容が変化したほか、高齢者などの消費も拡大し、巨大市場の魅力が増している」と発言した。
同席していた日本企業幹部向けの、「中国リスク」への不安を和らげるメッセージだったとも言える。
また、AI分野の可能性についても、「全ての家庭や産業に影響を与え、我々の予想を上回る」と強調した。さらに、「日本との経済協力を進め、ビジネスチャンスを探し、共に発展していきたい」と踏み込んだ。
中国側の意図についてはさまざまな見方がある。深刻な失業率など自国経済への問題意識に起因した可能性もあるが、中国経済に詳しい専門家は取材に対して否定的な見解を示した。ただ、別の識者は投資などを通じ、「日本企業と密接な関係にある地方政府にとっては重要な問題だ」と指摘した。
地方政府のことは会談でも言及された。
岩屋氏は何立峰氏に日本と中国の地方政府との交流再開を申し入れた。すると、何氏は自身の地方政府勤務経験に触れながら、「雰囲気の問題ではないか」と表現した。そして、「国貿促は日本政府の台湾発言を正すために役割を発揮して欲しい」と述べた。その問題が解決されれば、という条件を付けた上で「水到渠成(すいとうきょせい)」と述べた。直訳は「水が流れれば自然と水路ができる」という意味で、条件さえ整っていれば焦らずとも物事は自然に成就するという故事成語だ。

岩屋氏は高市政権に苦言を連発するなど、総理とは距離がある。岩屋氏らをここまで厚遇したことは、高市政権に対して「態度を変えれば相手にする」という具体的かつ戦略的なメッセージだったとみられる。経団連の筒井義信(つつい・よしのぶ)会長が定例記者会見で岩屋氏の会談について問われ、「非常に評価している。日中関係の改善に向けて率直な意見交換が行われたと期待する」と述べたことは重要だ。














