■「正教会がプーチン政権の軍事政策のバックアップに回った」


ソ連時代弾圧され資産も奪われ崩壊寸前だったロシア正教は、ソ連崩壊の後、息を吹き返す。

一方2000年に大統領に就任したプーチン氏は、共産党の代わりに人心を掌握するために宗教は有効であると考え、ロシア正教をバックアップした。

2010年、プーチン政権はソ連が没収していた正教会の資産を教会に返還。教会はこれで膨大な不動産を所有する。その前年に総主教に就いていたキリル氏は、いうなれば突然大富豪になったことになる。さらにロシアの大富豪たちオリガルヒの資金も教会に入ることになるが、教会の資産の内容に関しては専門家でも、触れることのできない闇となっているという。

そして、この頃から正教会の政治色が強まり、キリル総主教とプーチン大統領の蜜月が始まる。アメリカとの関係が悪くなる中で、国内をまとめる宗教の重要性を高めるプーチン大統領。政権の意向に沿うことで、知的なブレーンがいくら離れようが地位を絶対的なものとしたキリル総主教。

政治と宗教の深いつながりを象徴する建物があると、東大先端研の小泉氏は言う。

東京大学先端科学技術研究センター 小泉悠 専任講師
「(第2次世界大戦の勝利を記念して)2020年にできたロシア軍主聖堂は象徴的だと思う。これはドイツ軍からぶん捕った武器や勲章を溶かして作った鉄骨で建てられている。場所もロシア軍が所有する“愛国者公園”の中に建てた。ここでロシア軍のための祈りをささげる。(中略)正教会はもともと政治色があったが、それが政治の領域だけでなく軍事や安全保障の領域まで全面的に関与するようになった。つまりこれ以降、教会がプーチン政権の軍事政策のバックアップに回ったといってよい」

“侵攻”を推し進めるプーチン大統領と“信仰”の象徴であるキリル総主教のウインウインの関係。一説には、キリル総主教の腕には200万円の腕時計が光り、ヨットも所有するという・・・。

■「プーチンはプーチンの神を信じている…」


プーチン氏は語っている。

「子供の頃、母に連れられて洗礼を受けた。父には内緒だった。父は共産党員だったから」

果たしてプーチン氏は信心深いのか?それとも宗教を利用しているだけなのか?

九州大学講師 高橋沙奈美さん
「プーチンはプーチンの神を信じている、と聞いたことがあります。プーチンの神という概念と、キリスト教の神の概念は一致するのだろうか、ってよく言われています」

プーチン氏の頭の中は、やはりよくわからない。

(BS-TBS 『報道1930』4月22日放送より)