犬1頭の一生に、278万円

もうひとつ大事なのが、寿命です。ペットフード協会の調査では、2013年からの12年で犬の平均寿命はおよそ0.6歳、猫はおよそ0.9歳延びました。医療や食事の変化が背景にあると、僕は見ています。家族として過ごす年月が延びれば、そのぶん、ごはんも医療も積み重なっていきます。

同じ調査には、年齢ごとの平均支出を平均寿命まで積み上げた、犬1頭の生涯に必要な経費の推計があります。その額はおよそ278万円。ちょっとした車が1台買える金額です。フード、動物病院、ペットの飼える住まいといった、動物と家族として暮らし続けることを支える商品やサービスを、僕は「愛情のインフラ」と呼んでいます。この支える側のビジネスに、犬1頭の一生で、車1台ぶんのお金が向かうということです。

売上は6年連続で増えても、利益は半分に

ただし、ペットのビジネスがみんな儲かっているわけではありません。東京商工リサーチが2026年8月に発表した調査によると、ペットやペット用品を売る小売業98社の2025年度の売上高の合計は、6期連続で増えていました。ところが利益の合計は前の年度から54%減って19億円。売上は増えているのに、利益は半分になったのです。

同じ調査によると、ペットフードは出荷量の4割強が輸入品で、円安と原材料の高騰が直撃し、値上げでは追いつきません。2025年の倒産と休廃業・解散は合わせて64件と、統計を取り始めた2013年以降でいちばん多くなりました。市場全体は伸びているのに、モノを売るお店の利益は半分になり、倒産と休廃業・解散は過去最多。この差はどこから来るのでしょうか。