「泥臭い挑戦者」
「日本代表が世界の上位に上がったことで、去年は自分たちが知らないうちに、世界の国々から『日本を絶対に倒すぞ!』って徹底的に研究されて追われる立場になっていた。自分たちの中に『トルコやカナダには勝って当然だ』というおごりや過信がどこかにあったから、去年は最後に足をすくわれて負けた。だからこそ、今年はメンバーが全員万全の状態で戻ってきたけれど、自分たちはもう一度『一番下から這い上がる泥臭い挑戦者なんだ』って、マインドを完全にリセットしている。“過信を捨てた僕たちは、去年よりも圧倒的に強い”」
強くなったからこそ、挑戦者に戻る。矛盾しているようで、髙橋藍にとってはそれが世界で勝つための条件だった。
「その高い次元の中でも、もちろん一番大切なのは“最終的にチームを勝たせること”が僕の中では何よりも最優先。そういった、世界相手に“ここで1点を手繰り寄せて勝てるポイントを取る”というところは、絶対に妥協せずにコートの中で100%取っていく。ここだけかな、と今は思っている」
“自分の力で、チームを勝たせられる絶対的な存在になる。”その言葉は、単純に得点を重ねるエースになるという意味ではない。
相手を読む。
仲間に伝える。
チームの空気を変える。
自分自身が最後の1点を取りに行く。
プレーでも。
言葉でも。
感情でも。
チーム全体を動かす。
それが、髙橋藍が目指している「絶対的な存在」なのかもしれない。世界の壁を越えるために、知性を磨いた。その知性を実行するために、身体を作り直した。
そして今、その力を――
自分一人のためではなく、チームのために使おうとしている。
一人で世界の壁を越えるのではない。
6人で、越える。その中心に、髙橋藍は立とうとしている。

















