地域の未利用資源を活用して課題を解決
その後、湯の花の活用は、ブルーベリーだけでなく、ラズベリーの栽培にも広がっている。秋田県はラズベリーの生産量日本一を誇る。しかし、そもそも生産している地域が秋田県、山形県、北海道くらいなので、ラズベリー用の農薬は作られていないのが現状で、害虫による被害も多い。
そこで、佐藤さんは卒業の前年に、ラズベリーとよく似た日本固有種のクサイチゴを使って、湯の花の効果を研究した。小さいビニールハウスで栽培しているラズベリーの苗に、湯の花の温泉水をアロマポットによって霧状に噴射したところ、病気も害虫被害もなくなり、生育も早かった。
このように、湯の花を活用した様々な取り組みは実用化まで進み、今年の春までに一定の成果を上げることができた。佐藤さんは研究で感じた魅力を振り返った。
「一番の魅力は地域の未利用資源を活用することですね。湯の花はこれまで捨てられているだけでした。私たちは中学校の頃からSDGsの勉強もしているので、研究がSDGsに関連づいていくことに面白さを感じました」
研究は先輩から後輩へと受け継がれている。今年度は部員も増えて、現在は新たなテーマとして柿の葉などの活用を研究していると佐々木教諭が明かす。
「柿を目当てにクマが出てくるので、実がつかないように葉を摘んでいます。この柿の葉をお茶にすると、レモンの約40倍のビタミンCがあると知り、学校で飼育している鶏に与えました。すると、産卵率は4倍になり、鳥インフルエンザ対策になることもわかってきました。この柿の葉茶を稲に撒いているほか、黒毛和牛に飲ませてメタンガスを含んだげっぷを減らす研究なども進めています」
嫌われ者だった強酸性の湯の花が、様々な農作物の栽培に役立つことを発見し、現在は耕作放棄地の柿の葉を畜産に使えないかと研究を重ねる。大曲農業高校果樹部は、未利用の資源を有効活用することによって、今後も地域の課題の解決を目指していく。
「調査情報デジタル」編集部
【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。














