鳥獣被害から果樹を守り、稲やブルーベリーの生育を促す。秋田県立大曲農業高校の生徒たちが玉川温泉の「湯の花」から生み出したアイデアとは。「シリーズ SDGsの実践者たち」の第57回。
強酸性の玉川温泉をめぐる課題
秋田県仙北市の玉川温泉は、強酸性の泉質で知られている。1か所からの湧出量日本一を誇る源泉からは、熱湯が勢いよく吹き上がっている。
周辺には強い硫黄の匂いが立ち込め、あちこちから噴煙も上がっている。雪が積もる冬季は休業する玉川温泉は、毎年4月下旬から11月下旬までの間に多くの湯治客らが訪れる秘湯だ。


一方で、自然の恵みであるはずの温泉が、地元にとっては「嫌われ者」とされてきた面もある。その理由はこうだ。まず、泉質が強酸性である玉川温泉を水源とする渋黒川が、玉川ダムの上流で玉川と合流する。
さらにその玉川の水は、1940年から水力発電と農業への活用を目的に、下流の田沢湖に引き込まれるようになった。
その結果、水源の一部が玉川温泉である玉川の水の引き込みにより田沢湖は酸性化が進み、多くの生物が死滅、固有種のクニマスも田沢湖では絶滅した。
さらに、酸性が強い川の水は、農業にも適していなかった。国は37億円をかけて、渋黒川に中和処理施設を建設し、1991年から運転を開始。大量の石灰石を使って中和することで、主に稲作のための農業用水として使えるようにした。ただし、中和処理施設には、年間約2億円の維持費がかかっている。














