「何もしなければ年内」42歳で突然の余命宣告
2023年9月。風邪ひとつひいたこともなかったという良典さんが、体の痛みを訴えた。
検査を受けた病院で、すぐに大きな病院を紹介された。
「何もしなければ年内。治療しても1年もつか分かりません」
診断結果はすい臓がん。肝臓にも転移していた。
「頭が真っ白になって涙が止まらなかった」という敦子さんだったが、良典さんは涙ひとつ見せなかった。出てきたのは意外な言葉だった。
「俺は死なないから」
「なるようになる。俺は死なないから、治療を頑張るよ」
10月には入院して抗がん剤治療が始まった。
入院中の良典さんは、好きな空と雲を眺めて気分を紛らわせたが、がんの痛みに加え、副作用で猛烈な吐き気がずっと続いた。
抗がん剤によるめまいと吐き気は、良典さんにとって「72時間以上、目も開けられないほどの猛烈な車酔い」だった。
何度もやめたいと思った。
「楽になりたい、帰りたい」と敦子さんにLINEすることもあった。














