毎日新聞の連載「ヒバクシャ」が伝えること
毎日新聞は、戦後61年の2006年から広島支局と長崎支局を拠点として、連載企画「ヒバクシャ」を始めました。今年でちょうど20年になります。いわゆる「8月ジャーナリズム(終戦記念日前後に集中する戦争報道)」から脱却するため、季節ごとに被爆者の定点取材を続ける企画で、孫ほども歳の違う若い記者たちが被爆者のもとに繰り返し通い、その証言や生き様を伝え続けています。これまでの掲載回数は326回、取材した記者は延べ180人以上、取材させていただいた被爆者は79人、そのうち半数以上が既に亡くなりました。
取材に応じてくださった中には、漫画「はだしのゲン」の作者で、14年前に亡くなった中沢啓治さんもいます。「ゲン」の描写が過激すぎると批判されたこともありましたが、「俺は、ウソは描けん」と惨状を描き続けた中沢さんは、取材に「人間は忘れるから生きられる。でも、忘れてはいけないことがある」という言葉を残してくださいました。
また、長崎原爆被災者協議会の元会長で、9年前に亡くなった谷口稜曄(すみてる)さんは、2010年の核拡散防止条約再検討会議の際、国連本部での講演で、自身の被爆直後の生々しい写真を掲げ、「私はモルモットでも見せ物でもない。しかし目をそらさず、もう一度見てほしい」と語り掛け、「長崎を最後の被爆地とするため。私を最後の被爆者とするため。核兵器廃絶の声を全世界に。ノーモアヒロシマ ノーモアナガサキ ノーモアヒバクシャ」と訴えました。2006年の連載スタート時から何度も取材に応じていただき、「忘却は原爆の肯定につながる。目をそらさないで」という言葉を残してくださいました。














